研究課題/領域番号 |
19K24271
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
辻 久美子 東京医療保健大学, 看護学部, 准教授 (90336842)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 冷え症 / 中高年 / 皮膚温 / 簡易判定表 |
研究実績の概要 |
本研究は、中高年者における冷え症の実態とその影響要因を検討することと、冷え症を簡易かつ的確に捉えられる判定表を考案し、その有効性を明らかにすることを目的とした。 令和2年度は、地域疫学研究の健康診断におけるデータ収集を中心に実施した。令和元年度と比較して対象市町村が減少し、且つ健康診断の規模が縮小され、対象人数も減少したため、対象者の確保が難しかったが、そんな中でも、令和2年8~11月に、県内の複数地域の住民を対象とする地域疫学研究の健康診断の参加者を対象に、調査を実施した。対象者は、特定健診または後期高齢者健康診断の受診者のうち、研究に同意の得られた参加者とした。対象者に対して、年齢、性別、冷え症判定表、皮膚温の測定、循環機能検査、体組成検査、認知機能検査、生活習慣検査を実施し、データ収集を行った。皮膚温の測定については、令和2年度はそれまでと違い、サーモグラフィを使用し、広範囲の皮膚温のデータを得ることができた。 研究成果については、令和元年度に収集したデータを基に冷え症の実態について検討した。現段階で得られている結果としては、以下の3点であった。1、冷え症の頻度は男性より女性で高い。2、中高年者では皮膚温は男女差を伴いながら、加齢とともに手背部の皮膚温が高くなり、前額部と手背部の温度較差が小さくなる変化がみられる傾向がある。3、手指の皮膚温や前額部と手背部の温度較差を指標とする場合は、性差や年齢差に留意する必要がある。 以上の成果を踏まえて、現在、サーモグラフィを使用して撮影した画像から、皮膚温データを抽出するにあたり、分析部位、使用範囲、およびその妥当性について検討中である。その抽出されたデータを加えた健診で収集したデータを基に、冷え症判定表について、尺度分析を行い、内容を検討中である。その結果を踏まえて、令和3年度は研究成果を論文として公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和元年度は、当初の予定通り、物品購入を行い、調査を実施できたため、計画していた対象者の規模には達しなかったものの、データは順調に収集できた。すでに収集されているデータを追加しながら種々の検討を始めており、一定の成果が得られた。 しかし、令和2年度は、COVID-19感染症による予防政策のために、複数実施されていた地域疫学研究の健康診断について、2市町村のみの実施となり、且つその規模も縮小された。そのため、対象者に対してもれなく調査を実施できるように努めたが、令和2年度は予定通りの対象者数を得られなかった。 令和3年度も同様の状況であることが予測され、対象者を得るのが困難である状況は続いている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、縮小されてはいるものの、県内数市町村で実施されている地域疫学研究の健康診断に参加し、対象者を得る努力を引き続き行う。 その結果を含めながらも分析を進め、冷え症の影響要因を明らかにすることと、冷え症判定表を完成させてその有効性を明らかにすることを目標に研究を進めることを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度に予定されていた地域疫学研究の健康診断が中止または規模縮小となったため、調査実施に伴う国内旅費、及び調査手伝い等の人件費として支出を予定していた分が余剰してきた。また、令和2年5月に参加を予定していた学術集会が開催中止となったため、国内旅費として支出を予定していた分が余剰してきたために、当該助成金が生じた。 当該助成金は、令和3年度の調査実施費用、及び、研究成果発表のために、令和3年度に開催予定の学術集会への参加費用、論文投稿費用として使用する予定である。
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