研究実績の概要 |
血栓生成観察と流れ計測において,円管チューブおよび2次元流路にカテーテルを挿入した状態での血栓形成の観察を行い輸液量の影響や接触の程度の影響を調べ,輸液の量の増減による血栓形成の可視化を行った.流量の違いにより,血栓形成に影響を与えることが示唆された.CFDを用いた流れの解析において,静脈の血管モデルに留置針が固定されたときの流れを挿入角度や点滴固定位置,静脈速度や点滴流入の条件を変化させ,速度や,せん断度分布,滞留時間などをCFD(Ansys等)で分析した結果,カテーテルの挿入位置や点滴流量の条件を変更することにより,せん断速度分布,滞留時間など血栓形成に影響を及ぼすことが示唆された.また,静脈の血管モデルに留置針が固定されたときの流れを挿入角度や点滴固定位置,静脈速度や点滴流入の条件を変化させ,速度やせん断速度分布への影響が示唆された.赤色血栓予測の流れの解析からの評価量算出実験で得られた接触応力とCFDの計算で得られた速度,せん断速度,滞留時間を組み合わせて血栓生成を予測し,評価量を求め血栓生成の実験との対比により評価量パラメータについて検討した.乳児の血管静脈モデルを用いて,実際の点滴のカテーテル固定ではカテーテル先端が静脈壁との間に過度な接触応力(摩擦応力)を生じることが想定されるため,穿刺時の穿刺角度と穿刺時の力の時間変化について検討し血栓形成への影響が示唆された.挿入角度が深いほど,血管壁に対するせん断応力が高くなる.そのため,カテーテルの挿入深さおよび挿入角度の評価より,乳幼児の動きによるカテーテルの留置位置の変化は,赤色血栓の生成に影響を及ぼすことが示唆された.また,カテーテルを挿入・留置する際には,カテーテルの挿入角度を可能な限り小さく・浅く挿入し,カテーテルの壁を静脈壁から遠ざけるよう,水平にしてカテーテルを固定する必要についても示唆された.
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