研究成果の概要 |
血栓の可視化観察実験より,点滴時は血流に対し一定以上の流量が確保されていない場合,低せん断による淀み部が発生しやすく,血栓形成につながることが示唆された.また,乳児血管モデルを使用した留置針の穿刺力計測より,穿刺角度と穿刺力の関係が示唆された.さらに,CFDと応力解析により,点滴時の流れの剪断応力及び穿刺範囲内で血管内壁に対し,接触による高い剪断応力が作用し,これらが血栓形成の一因になることも示唆された.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
乳幼児はその年齢や発達段階から理解力が低く,末梢静脈点滴中も非点滴時と同様に体動が激しく,ベッド上においても両手を使い,自由に遊ぶなどして過ごしている.成人に比べて血管も細く,点滴トラブルも多い.乳幼児固有の体動は血栓形成に影響するため,乳幼児の特徴を踏まえて点滴管理を行わねば,血管外漏出や血栓形成による重篤な点滴トラブルにつながる.本研究は,血栓での閉塞原因究明の研究として,CFDなどシュミレーションを取り入れ,カテーテルと静脈の相対的位置変化の要因から,工学的手法を看護研究に取り入れることは,小児の点滴管理における今後の事故防止及び小児看護の発展に貢献できるという大きな社会的意義がある.
|