研究課題/領域番号 |
19K24278
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研究機関 | 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 |
研究代表者 |
山口 美輪 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 国際栄養情報センター, 室長 (20721674)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 食環境 / 政策評価 / 国際指標 / 非感染性疾患予防 |
研究実績の概要 |
食環境の政策評価を行うために開発された国際的評価指標Food Environment Policy Index (Food-EPI)は、7分野の「政策」と6分野の「基盤支援」で構成され、計47項目の政策指標がある。本研究は、Food-EPIを用いて以下の手順で日本の政策評価を行った。1)各47項目に該当する優良な政策事例について、政策の基となる法令や政府機関、地方自治体、非政府組織、あるいは民間企業が公示する資料を収集、整理し報告書を作成した。2)報告書に使用した資料の妥当性、正確性は、栄養政策に詳しい有識者4名(行政機関2名、学術機関[元行政機関所属]1名、国際協力機関1名)の全会一致により確認した。3)研究協力の同意を得られた公衆栄養・公衆衛生の専門家66名(学術分野の者、非政府組織に所属する者、政府関係者)より、日本の政策事例の報告書をもとに諸外国の優良政策事例と比較した日本の政策実施レベルの評価(得点化)の回答を得た。 政策実施レベルを評価した専門家は、6割近くが10年以上の経験を持ち、教育・研究機関(66%)の所属が最も多く、次いで政府関係機関(21%)であった。「政策」分野において、健康および不健康な食品への価格設定、包装前表示を含む不健康な食品や栄養素についての成分表示、食品マーケティング・宣伝広告の規制や管理の政策が諸外国の優良政策と比較して実施レベルが50%未満の低い評価であった。一方で、「基盤支援」を構成する分野は「政策」と比較して、全体的に高い政策実施レベルの評価を得た。国民の健康や疾患状況を把握するための定期的な全国モニタリング調査、健康的な地域社会のためのガイドラインづくりなどの基盤システム構築の実施レベルは諸外国と比較して50%以上の高い評価を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で、3月に予定していた対面型のワークショップの開催が延期になった。
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今後の研究の推進方策 |
政策実施レベルの評価結果をもとに、15名程度の専門家に協力を得て、今後実施すべき政策の具体案について議論を行うためのワークショップを開催する。討議は専門性を加味しながらいくつかのグループに分ける。まず、議論すべき重要な政策を47項目の中からいくつか選出する。次に、選出した重要政策における今後実施すべき具体案について各グループで討議し、最終的に参加者全ての合意を得て具体案を決定する。その後、各専門家は、決定した重要政策の今後実施すべき具体案について、その重要度と達成(実現)可能性の順位付けを行う。 順位付けは集計し、各政策の重要度と達成可能性の比率について4象限マトリクスを作成し、図式化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス発生の影響より、3月に予定していた対面の調査(ワークショップ)が延期となった。調査協力者の交通費や謝金の分が次年度使用額となった。 2020年度に、新型コロナウィルス発生状況を考慮しながら対面調査を行う予定である。
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