日本の食環境において今後実施すべき政策案を議論するため、32名の専門家が参加してオンラインワークショップを開催した。令和2年度で行った政策実施レベル評価結果のもと、専門家らによって注目すべき重要な政策項目として「政策」7分野から食品表示、食品プロモーション、食品価格、および食品の流通と提供が選出され、「基盤支援」6分野からガバナンス、モニタリングと情報収集、資金と資源、関係機関の相互協力、および政策全体に健康の視点が選出された。次に、選出した分野における今後実施すべき政策や行動の具体案についてグループ討議し、専門家全ての合意を得て具体案を「政策」から19案、および「基盤支援」から23案を決定した。その後、各専門家によって、今後実施すべき政策案の重要度と達成(実現)可能性の順位付けを行った。そして政策案の重要度と達成可能性との平均順位の比率を分析した。 その結果、最も重要度の順位の高かった政策案は、「政策」では『すべての人々が自然に健康行動をとれるよう、日本の食品流通と提供に関わる環境を改善する政策を強化する(全てのパン製品に対する減塩など)』、および「基盤支援」では『食環境整備推進法(仮)のような食環境整備に関する包括的な法律の立案をする』であった。高い重要性の一方で、双方の分野の政策案とも達成可能性は他の政策案と比較して低い傾向にあった。 これらの結果より、健康的な食環境を確立するためには、日本の確立したモニタリングシステムによって政策行動の進捗状況を定期的に監視および分析するとともに、すべての人々が自然に健康行動をとれるような食環境の整備が必要と考えられる。
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