研究課題
本研究は、日常生活下でスマートフォンやウェアラブルデバイスを用いて取得した健康関連データを実時間でサーバーに蓄積し、状況に応じてフィードバック情報の送信が可能な健康モニタリング管理システムの開発を目的としている。具体的には、日常生活下で健康に否定的な影響を与える要因や異常を検知した時に適切なタイミングでターゲットとなる制御変数を必要な量だけ介入する具体的な方法を提案することである。そのため、これまでの研究期間では、日常生活下で行動的・生理的指標や心理的要因、社会環境的要因を多角的に測定し、それらの関係性や因果性を総合的に検証してきた。まず、先行研究では自明ではなかった気分の悪化と身体活動低下の前後関係について、疲労感、興味(interested)のような覚醒度(arousal)が低い時は、次の1-2時間の身体活動の上昇と座位時間(sedentary behavior)の減少のような身体活動への悪影響が示された。これは、身体活動のような健康関連行動を介入を行う際は、覚醒度のような心理状態の管理が重要であることを示唆する具体的な研究成果といえる。また、睡眠に関する研究では、良質で十分な睡眠を取ることが気分に好影響を及ぼすことが示され、睡眠の介入による精神的健康の向上が示唆された。今後睡眠規則性に関するデータ解析を追加し、睡眠管理や気分向上に関する介入方法を評価する予定である。さらに、日常の心理的ストレスが高い心拍と低い心拍変動に関連していることが検証でき、これが心血管系疾患のリスクファクターになることが示唆された。今後日常の心血管系機能(心拍、心拍変動)やストレスの定量的な介入方法の開発を完了し、心血管系機能やストレスのレギュレーション方法の検証を進めていく。
3: やや遅れている
令和2年度は、調査全般や調査フィールドの調整し健常成人100名を対象に調査を実施予定であったが、COVID-19の影響を受け、調査の開始が延期、中止されるなど当初の計画よりデータ収集が遅れている。しかしながら、以前保有していたデータを用いて研究活動を続けるなど、所属の大学内で調査協力者を募集し、データを確保しデータ解析を行った。また、令和2年度に予定されていた国際学会は、令和3年度に延期されるなど研究成果の発信活動が予定よりやや遅れている。今後、研究成果の論文出版を含め、国内・国際会議の発表を積極的に行っていく予定である。
本研究は、日常生活下でスマホやウェアラブルデバイスを用いて取得した健康関連データを実時間でサーバーに蓄積・分析し、状況に応じてフィードバック情報の送信が可能な健康管理介入法の開発を目的としている。現在、データを計測しサーバに蓄積するシステムによりデータ収集を行っており、状況に応じて適切な介入タイミングや内容をユーザーにフィードバック可能な介入方法を提案する。
令和2年度に参加を予定していた学会がCOVID-19の影響により令和3年度に延期となったため、次年度使用が生じた。この分、令和3年度に学会発表の費用として支出する予定である。学会が中止、またはオンラインで行われる場合は、論文出版の費用などに使用する予定である。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
British Journal of Pharmacology
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