研究課題/領域番号 |
19K24292
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
櫻谷 あすか 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70845461)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | ジョブ・クラフティング / 労働者 / メンタルヘルス / ワーク・エンゲイジメント / 心理的ストレス反応 |
研究実績の概要 |
本研究ではゲーミフィケーションを用いたジョブ・クラフティング(労働者が自らの仕事のやりがいを高めるために自主的な働き方をすること;以下JC)促進プログラムを開発し、その効果検討をすることを目的としている。本プログラムは、研究代表者らが既に開発したカードゲームを用いた対面型集合研修プログラムである。2020度は2019年度に引き続き、本プログラムの効果測定のための無作為化比較試験の実施を計画していたが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、企業の労働者に対する対面での研修実施が困難な状況となり、当初の予定より調整に時間がかかっている。今後の情勢を踏まえながら、企業との調整を進めている状況である。 上記の状況を踏まえ、オンラインで本プログラムを受講できるようなオンライン版プログラムの開発を開始した。形式としては、Zoom等のTV会議システムを利用したオンライン研修と研修後に参加者に利用してもらうe-learningシステムを組み合わせたものとなる。本プログラム内容は、当初の集合研修と同様に、ゲーミフィケーションの概念に基づいており、参加者がJCを学ぶことや、日々の業務の振り返り、およびJCの計画立案や実践の促進を目的としている。今年度は、オンライン研修とe-learningプログラムの開発を行った。オンライン研修の開発に関しては、産業精神保健の専門家から意見をもらいながら研修内容を作成し、労働者を対象にトライアルを実施し、意見を収集した。また、e-learningシステムの開発に関しては、産業精神保健の専門家やe-learningシステム開発の経験者に意見をもらいながら、参加者のJCの実践をサポートするような内容を考案している。2021年度は、引き続き本プログラムの開発を行い、労働者を対象に本プログラムを実施し、無作為化比較試験による効果測定を実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、研究代表者らが開発したカードゲームを用いた対面型集合研修プログラムの無作為化比較試験を、2020年度に実施する計画であったが、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、労働者に対する対面での研修実施が困難な状況となり、当初の予定より調整に時間がかかっているため、進捗がやや遅れている。今後の情勢を踏まえながら、企業との調整を進めている状況である。 2020年度は、上記の状況を踏まえ、オンラインで本プログラムを受講できるようなオンライン版プログラムの開発を開始した。形式としては、Zoom等のTV会議システムを利用したオンライン研修と研修後に参加者が利用するe-learningシステムを組み合わせたものとなる。本プログラム内容は、当初の集合研修と同様に、ゲーミフィケーションの概念に基づいており、参加者が楽しく能動的にジョブ・クラフティングを学ぶことや、自分に適したジョブ・クラフティングの計画立案、および実践の促進を目的としている。オンライン研修の開発に関しては、産業精神保健の専門家から意見をもらいながら内容を作成し、数名の労働者を対象にトライアルを実施し、意見を収集した。また、e-learningシステムの開発に関しては、産業精神保健の専門家やe-learningシステム開発の経験者に意見をもらいながら、参加者のジョブ・クラフティングの実践をサポートするような内容を考案している。2021年度は、引き続き、本プログラムの開発を行い、労働者を対象に本プログラムを実施し、無作為化比較試験による効果測定を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は2020年度に引き続き、オンライン版のジョブ・クラフティング促進プログラム(Zoom等のTV会議システムを利用したオンライン研修と研修後に参加者が利用するe-learningシステムを組み合わせたもの)開発を続け、本プログラムの効果検討(無作為化比較試験)を実施する予定である。本プログラム(オンライン研修およびe-learning)により、参加者がより能動的にジョブ・クラフティングを学び、実践することを促すことを目的としている。 本プログラムの効果検討(無作為化比較試験)では、最終的に労働者300名を無作為に2群(介入群・対照群)に割り付け、効果を検証する必要があるので、研究参加者人数300名を目指して多くの日本の企業に参加の募集をし、無作為化比較試験を実施する。効果測定項目は、2019度と同様に、全参加者を対象にWeb式の自記式質問票を用いて、介入前、介入直後、および介入1か月後の全3回測定する。測定項目は、1)ワーク・エンゲイジメント、2)心理的ストレス反応、3)ジョブ・クラフティング得点等を用いる。効果分析としては、本プログラム前後の、対照群に対する介入群の効果指標の差異を検証する。具体的な方法としては、全効果指標を従属変数とし、群(介入・対照) × 時期(介入前・介入直後・介入3ヶ月後・介入6ヶ月後)の交互作用を混合効果モデルにより解析する。また、全効果測定を終了した後には、倫理的配慮として対照群に対して同様の介入プログラムを提供する。 本プログラム効果検討の結果は、国内学会で発表し、および英語論文としてまとめて、海外雑誌に投稿する予定である。また、開発した介入プログラムをより多くの一般労働者に提供できるよう、企業の産業保健スタッフ向けのプログラム実施マニュアルを作成し、書籍としてまとめることも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大の影響により、企業の労働者に対する対面での研修実施が困難な状況となり、当初の計画予定だった無作為化比較試験の実施ができなかったこと、および研究成果発表として計画していた国内学会および国際学会の現地開催が中止となったため、学会参加旅費が発生しなかったことが理由となる。2021年度は、オンライン版プログラム開発、およびその効果検討を実施するため、プログラム開発費用(書籍の購入、専門家からの助言に対する謝金等)や効果検討の実施に関する費用(オンライン会議システムに準備にかかる費用、およびリサーチアシスタントへの支払い等)、および研究成果発表(論文投稿費用等)に使用する予定である。
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