研究課題/領域番号 |
19K24292
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
櫻谷 あすか 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70845461)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | ジョブ・クラフティング / 労働者 / メンタルヘルス / ワーク・エンゲイジメント / 心理的ストレス反応 |
研究実績の概要 |
1)介入プログラムの開発:令和2年度に引き続き,オンライン版ジョブ・クラフティングカードゲームプログラムの開発を実施した。はじめに,臨床心理の専門家から助言を得たうえで,既存のアナログ版のジョブ・クラフティングカードゲームの内容を見直した。既存のカードゲームに含まれていたジョブ・クラフティング事例の内容を,よりジョブ・クラフティングの概念に基づいた表現に修正したり,また研究参加者(労働者)に受け入れやすい表現に修正した。次に,ゲーミフィケーションの専門家と意見交換をしながら,オンライン版のジョブ・クラフティングカードゲームのプロトタイプを開発した。その後,産業保健や経営学の専門家(合計8名)とZoomを用いた会議を合計3回開催し,本プロトタイプの試行をしてもらい,意見をもらった。その後のメール等による意見交換と合わせ,得られた意見をもとに,オンライン版ジョブ・クラフティングカードゲームの修正を行った。 2) 介入プログラムの運用のためのスタッフのトレーニングおよびWeb 調査システムの準備(オンライン版ジョブ・クラフティングカードゲーム運用の際の事務作業を担当するリサーチアシスタントに対して研究代表者(櫻谷)がトレーニングを実施する。また,WEB デザイン会社にweb 調査システムの作成を依頼する):スタッフのトレーニングは一部完了し,Web調査システム開発の発注準備中の段階である。 3)無作為化比較試験の実施の準備:無作為化比較試験の研究デザインおよびプロトコルを確定し,東京女子医科大学での倫理委員会に申請し、承認を得た。現在,研究参加者をリクルートしている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、プログラム開発のための委託業者との打ち合わせや,介入実施先(無作為化比較試験への参加企業)との調整に当初の予定より時間がかかっているため。また,オンライン版ジョブ・クラフティングカードゲームプログラムの開発に際して、産業保健や経営学の専門家の知見や,研究参加者(労働者)の意見を収集し,システムの改善を行う作業に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
1) 無作為化比較試験の開始:(1)研究参加者の募集および初回(ベースライン)調査の実施をする。(2)介入群へのオンライン版ジョブ・クラフティングカードゲームプログラムの提供をする。 2)追跡調査および解析:初回調査から介入直後,3か月後,および6ヶ月後に実施する。測定項目は、①ワーク・エンゲイジメント、②心理的ストレス反応、③ジョブ・クラフティング得点等を用いる。効果分析としては、本プログラム前後の、対照群に対する介入群の効果指標の差異を検証する。具体的な方法としては、全効果指標を従属変数とし、群(介入・対照) × 時期(介入前・介入直後・介入3ヶ月後・介入6ヶ月後)の交互作用を混合効果モデルにより解析する。 3)対照群へのオンライン版ジョブ・クラフティングカードゲームプログラムの提供:6ヶ月後調査終了後に対照群にオンライン版ジョブ・クラフティングカードゲームプログラムを提供する。 4)成果の公表:国内外での学会発表、原著論文として主要な国際雑誌への投稿により公表する。また、開発した介入プログラムをより多くの労働者に提供できるよう、企業の産業保健スタッフ向けのプログラム実施マニュアルを作成し、書籍としてまとめることも予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、介入プログラム開発のための委託業者との打ち合わせや介入実施先(無作為化比較試験への参加企業)との調整に当初の予定より時間がかかっているために,介入プログラムの完成および無作為化比較試験の開始が遅くなったことが理由となる。令和4年度は,無作為化比較試験の実施、および研究成果発表(論文投稿費用等)に使用する予定である。
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