研究課題/領域番号 |
19K24294
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
佐渡 夏紀 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (60844983)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 形態 / MRI / 動作分析 / 個人差 |
研究実績の概要 |
【目的】 従来のスポーツ動作の動作分析では、一流競技者に存在する共通点、あるいはパフォーマンス変数と算出されたパラメーターの間の統計学的関係によって、パフォーマンス決定因子が検討されてきた。しかし、パフォーマンスが最大となる最適な動作は、個人の体つきに応じて異なることが予想される。 そこで本研究の目的は、体つきの個人差を検証し、体つきの個人差とパフォーマンスを最大化する身体動作の関係を跳躍動作を対象に検討することである。 【実績】 当該年度は、体つきの個人差を検討するための全身MRIスキャンの撮像プロトコールの確定、取得したMRIデータの各ピクセルの組成分類手法の検討を行った。 様々な種類が存在するMRI撮像プロトコールから、脂肪強調画像と水強調画像を取得するDIXON法を選択した。各身体セグメントの撮像を組み合わせることで、全身のデータを取得する撮像プロトコールが確定した。現在までに予備実験を重ね、数名分の全身スキャンデータの取得が完了している。 膨大な枚数となる全身のMRIデータを、matlabコードを用いた画像解析を行うことで組成分布を定量する手法の検討を進めている。まず、磁場不均一などの理由により生じるMRI画像内の輝度の不均一(画像の一部分が暗くなるなど)の処理手法を検討した。続いて、脂肪強調画像と水強調画像それぞれの輝度のヒストグラムから閾値を定め、各画像の各ピクセルがどの組成であるかを分類する手法を決定した。以上により、MRI画像のセグメンテーションを行い、身体の質量分布や慣性といった体つきの物理特性の定量が可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた外部委託の内容が変更となったため、自ら分析プログラムコードを作成する必要性が生じた。しかし、それについてはおおむね完了し、体つきの物理特性を定量するための方法が確立できたために致命的な遅れは生じなかった。 加えて本研究では、体つきのデータを実測された動作データに入力することで跳躍動作を生成するシミュレーションを計画しているが、この実施に先立ち、生成された動作を分析するための新しい方法論を跳躍動作の実データに適用した論文がJournal of Biomechanics誌で受理されている。 以上の成果により、おおむね順調であると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は確定したプロトコールと分析方法論により体つきの個人差を検討するための測定を進める。加えて、シミュレーションに用いるための跳躍動作の測定を行う。 ただし、現在のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の影響により、2021年度のどのタイミングから測定を再開できるかは不明である。臨機応変にいつでも実験を遂行できるよう準備を進めていく。
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