研究課題
半側空間無視は脳卒中後後遺症の一つであり、これを合併する場合は、日常生活動作能力の低下や屋外生活範囲の狭小化に繋がり、社会復帰の阻害要因となることで、発症後の心身の健康を妨げる要因となる。昨年度までに得られた研究成果に関して、主成分分析による次元圧縮およびクラスタリングを用いた追加解析を行った結果、半側空間無視の背景にある病態タイプに主として覚醒や全般的な注意状態の低下を伴うもの、受動的注意低下を伴うもの、空間性ワーキングメモリー低下を伴うタイプが存在すること、そしてそれぞれに異なる神経基盤が存在することが分かった。また、回復がすすむにつれて左側に注意バイアスを向けることが可能な症例が含まれることが分かった。この結果は、先行研究で単独で発表されていた個々症状を包括的に理解する意味で画期的なものと思われる。本研究成果はiScience誌に採録された。上記に加えて注意と無視に注目して回復過程を追った研究も現在Accept済みである。また、経頭蓋直流電気刺激による無視症状の変調作用に関しても論文執筆中である。これらの研究成果は、今後の半側空間無視をもつ対象者の発症後の心身の健康に対するリハビリテーションに示唆を与えるものと考えられる。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
iScience
巻: 24 ページ: 102316
10.1016/j.isci.2021.102316