研究課題
2020年度は,2019年度に引き続き,まずは基礎データの確立を進めた.具体的には治療戦略の一つである運動療法の効果に関する文献研究を進め,がん患者に対する運動療法が,本研究の副次評価項目であるQuality of life(QOL)に影響するかを検証した.QOLはがん領域で広く用いられるEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer QLQ C-30とし,運動療法は有酸素運動およびレジスタンストレーニングとし,データベースを用いて網羅的に検索した.その結果,20編のランダム化比較試験が抽出され,運動療法はQOLを改善することが明らかとなり,必ずしも高強度の運動療法のみが効果が高いわけではないことが明らかとなった.この成果については,欧文論文として公表している.次に食道がん患者における筋機能に影響する因子の探索を進めた.具体的には手術予定の食道がん患者を対象に, 2019年に改訂されたAsian Working Group for Sarcopenia 2019を用いて定義した術前サルコペニアに影響する要因を検索した.説明変数は年齢,性別,喫煙歴,呼吸機能,血液生化学データ,身体活動量,栄養,病期,術前治療の有無とし,多変量解析を実施したところ,年齢,性別に加え,身体活動量と栄養が影響する因子として抽出された.このことは,本課題の今後の進捗に寄与する重要な結果であると考えている.
3: やや遅れている
2020年度は,2019年度に続き治療戦略における基礎データ確立を進め,その目的は達成されたと思われる.一方,栄養戦略に関する検討には前向き研究の体制確立に時間を要しており,着手できていない.
2021年度は運動療法と栄養療法の効果検証を進めるべく,データ収集を進めていく予定である.また,研究が順調に進捗しなかった際の代替策として,臨床的に栄養剤が投与されている症例を抽出し,その効果を後ろ向きに検討することも考慮している.
COVID-19の影響により,研究遂行に時間を要している.加えて参加を予定していた学会や研究会の中止や延期により次年度に使用額が生じた.次年度は研究遂行に必要な物品の購入,研究成果公表のための経費の計上を計画している.
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件)
Integrative Cancer Therapies
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