研究課題
2021年度は,2020年度に引き続き,食道がん患者における筋機能に影響する因子の探索を進めた.具体的には手術予定の食道がん患者を対象に,2019年に改訂されたAsian Working Group for Sarcopenia 2019を用いて定義した術前サルコペニアに影響する要因を検索した.説明変数は年齢,性別,喫煙歴,呼吸機能,血液生化学データ,身体活動量,栄養,病期,術前治療の有無とし,多変量解析を実施したところ,年齢,性別に加え, American College of Sports Medicineが推奨しているがん患者の身体活動量とGlobal Leadership Initiative on Malnutrition基準で定義した栄養が影響する因子として抽出された.この成果については,欧文論文として投稿中である.次に治療戦略の一つである運動療法の効果検証に着手した.具体的には局所進行食道がんの標準治療である術前化学療法予定の食道がん患者を対象に,化学療法実施前からの運動指導を実施した.その結果,術前サルコペニアの指標である5回椅子起立テストは,年齢,性別,血液生化学データ,併存疾患(心疾患,呼吸器疾患,糖尿病,肝疾患,腎疾患),腫瘍部位,病期,術前化学療法レジメンといった交絡因子で調整後も,介入前後で有意な改善を認めた.今年度得られた結果は,本課題の今後の進捗に寄与する重要な成果であると考えている.
3: やや遅れている
2021年度は,2020年度に続き食道がん患者における筋機能に影響する因子の探索を実施した.そして,身体活動量に対する介入戦略として,運動指導による効果を明らかにした.目的の一つは達成されたと思われる一方で,COVID-19の影響により,栄養戦略に関する検討には時間を要しており,着手できていない.
2022年度は運動療法と栄養療法の効果検証を進めるべく,データ収集を進めていく予定である.また,研究が順調に進捗しなかった際の代替策として,臨床的に栄養剤が投与されている症例を抽出し,その効果を後ろ向きに検討することも考慮している.
COVID-19の影響により,研究の進捗に時間を要している.そのため,研究に必要な物品の購入が行えず,参加を予定していた学会や研究会の中止や延期により次年度に使用額が生じた.次年度は研究遂行に必要な物品の購入,研究成果公表のための経費の計上を計画している.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 2件)
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