研究課題
本課題では,食道がん患者の筋機能に対する運動とHMBを用いた栄養療法の効果をランダム化比較試験によって明らかにすることを目的とした.まず本課題の治療戦略に向けた基礎データの確立に着手した.食道がん術前患者でも施行される化学療法中のがん患者を対象に筋機能に影響する因子を検討したところ,身体活動量と栄養療法が独立した因子であると確認できた.次に食道がん患者を対象として身体機能や筋機能の指標であるサルコペニアに影響する因子検索を行った.その結果,食道がん術前サルコペニアにおいても,身体活動量と栄養がKey factorであることが明らかとなった.これら得られた結果は欧文論文として公表している.次に,介入研究を進めるにあたり,治療戦略の一つである運動療法の効果に関して文献研究も並行して進めた.具体的にはがん患者に対する運動療法が,本研究の副次評価項目であるQuality of life改善に有効であることを明らかにし,欧文論文として公表している.これらのことを踏まえ,食道がん術前補助化学療法中の運動指導効果を検証したところ,介入前後で5回椅子起立テストを用いて評価した下肢筋力は有意に改善することが確認できた.さらに,介入後に得られた身体活動量は生命予後の予測因子になることも確認でき,治療戦略の一部を担う運動療法の有効性が示された.一方で,栄養戦略に関しては繰り返し検討を重ねたが,COVID-19の影響もあり介入研究への進展が行えず,今後の課題として残った.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)
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巻: - ページ: -
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