研究課題/領域番号 |
19K24311
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
足立 拓史 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10849946)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 重症化予防 / 心臓リハビリテーション / 身体活動量 / 冠動脈疾患 |
研究実績の概要 |
PCI後の身体活動促進は、血管内皮機能の改善や冠危険因子の是正を通じて重症化(冠動脈再狭窄)リスクを低下させると考えられる。しかし、身体活動量とPCI後の予後やリスク因子のコントロール状況を検討した先行研究の多くは、質問紙による身体活動評価を採用している。本研究の目的は、加速度計を用いた客観的評価を行い、経皮的冠動脈形成術(PCI)後の重症化予防に効果のある至適身体活動量を探索することである。 令和元年度はベースラインデータの構築ならびに身体活動量と重症化リスクとの関連に関する、仮説生成の横断的解析を研究計画の目標としていた。 対象者のリクルートは、主コホート研究全体では約600名の取り込みが完了した。この中で、退院後1ヵ月、3ヶ月の身体活動量測定が実施できた者を解析対象として、退院後3ヶ月の身体活動量の予測因子の探索を実施して国際学会への演題登録を実施し採択された。本解析結果は、PCI後の身体活動促進を目的とした効果的運動指導に寄与すると考えられ、データベースの構築が完了した後、再解析結果とともに論文投稿を目指す。また、アンケート調査の結果から、行動変容に関連する因子探索も実施し、この結果についても国内の学術集会に採択され、いずれも令和2年度に報告予定である。 一方、令和元年度に予定していた身体活動量と重症化リスクとの関連に関する仮説生成については、身体活動量測定を実施できた対象者が計画段階よりも少なかったため、データベースの規模・質を向上させた上で実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
対象者のリクルートは順調に進んでいたが、新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、対象者のリクルートと退院後の身体活動量評価に影響が生じた。これにより、データ蓄積に若干の滞りが生じ、身体活動量測定が予定通り完了した対象者数が計画段階の見込み人数をやや下回った。そのため、当初予定していた身体活動量と再発リスク因子との関連に関する横断解析は見送りとなった。一方、関連テーマの解析結果は学会報告が可能になるなど、研究プロジェクト全体としては成果発信のペースを維持している。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の拡大に伴い、通常の対象者リクルートおよび郵送による身体活動量評価が困難な状況にある。そのため、リクルート期間を予定よりも延長してデータベース構築を行うことで対応する。リクルート期間を変更することで、予定していた身体活動量評価やイベント追跡の調査期間が終了するタイミングもずれ込むことが予想されるが、その一方で、仮説生成の横断的解析や副次的検討について、暫定的なデータを用いて解析を進めて成果発信に繋げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症拡大に伴う対象者取り込みの一時中断により、当初予定していたデータ解析を延期せざるを得なくなった。それに伴い、調査中断期間の郵送調査費用、研究成果報告のための学会参加費・出張費、論文投稿費の使用が後ろ倒しとなった。 2019年度に中断した調査は2020年度に再開するため、翌年度分の助成金と合わせて当該対象者への郵送調査を行う。同様に、論文投稿を含めた成果についても、予定していた内容を翌年度に実施する。以上、当該助成金は、やむを得ない理由により後ろ倒しとなった研究計画があり、そのための費用として使用する。
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