間欠性球技系競技において、スプリントと定義される時速21 km以上の走行距離は、負けた試合と比べ、勝った試合において長いことから、スプリントパフォーマンスを維持することは重要な要素の一つである。一方で、高強度運動パフォーマンスは後半開始後に低下することが知られており、体温の維持を目的にハーフタイム中に改めてウォーミングアップ(Re-warm up: RW)を行うことで、高強度運動パフォーマンスの低下を抑制できる。本研究では、1)我々が自転車運動で有効性を明らかにした1分間・最大酸素摂取量の90%の強度で行うRWがサッカーを模擬した切り返しを含む間欠性運動でも同様の効果が認められるか(研究1)、2)1分間・最大酸素摂取量の90%の強度で行うRWと受動的加温(Passive Heating: PH)を組み合わせることで、運動パフォーマンスに相乗効果が得られるか(研究2)、検討することとした。 その結果、研究1では、後半の開始後・終了前におけるスプリントパフォーマンスはコントロール試行と比較し、RW試行で有意な高値を示した。また、ハーフタイム中における胃腸温・筋活性の低下が抑えられた。研究2では、RW・PH・併用試行において、コントロール試行と比較し、スプリントパフォーマンスの低下が抑えられたが、RWとPHの併用による相乗効果は認められなかった。RW試行では筋活動とエネルギー代謝の活性化、PH試行では体温の維持が観察された。 今後の展望として、研究2における体温の変化には、被験者の体格特性が関係していたことが示唆されたため、被験者の身体特性に伴うハーフタイム中の体温保持戦略について、検討していく。
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