研究課題/領域番号 |
19K24314
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
下川 能史 九州大学, 大学病院, 助教 (30849104)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 脳梗塞モデル / 三次元モーションアナライザー / 大脳オルガノイド / ES細胞 |
研究実績の概要 |
①脳梗塞モデルの確立:生後4週マウス(C57BL/6NCrSlc)に対してローズベンガル投与を行い、血栓性大脳皮質梗塞を作成した。投与は手技が容易な腹腔内投与とし、投与後に頭蓋骨上からレーザー照射(550~650 nm)を15分行った。症候性脳梗塞モデルの確立にあたり、まずローズベンガル投与量を0.03mg/kgとし、投与から照射までの時間を5分、10分、15分、20分に分けて検討した。脳梗塞の有無はMRIを用いて評価した。麻痺症状はフットフォールテストを用いて評価した。結果として、投与から照射までの時間を5分とした群のみで脳梗塞を確認した。つづいて、照射までの時間を5分として、投与量を0.03mg/kg、0.06mg/kg、0.09mg/kg、0.12mg/kgの4群に分けて検討した。0.09mg/kgで最も明瞭な脳梗塞を確認した。以上から、ローズベンガル0.09mg/kgを腹腔内投与し、5分経過したのちにレーザー照射(550~650 nm)を15分行うことで良好な症候性脳梗塞モデルを作成できることを確認した。 ②三次元モーションアナライザーの解析:脳梗塞モデルに対して、三次元モーションアナライザーを用いて四肢の動きを解析した。上記脳梗塞モデル(n=3)を用いて、脳梗塞作成前、1週間後、2週間後でのElbow/Wristの床からの高さの最大値、最低値を解析した。結果として、麻痺側、非麻痺側間に、Elbow/Wristにおける床からの高さに差は認めなかった。さらなる評価方法の改善が必要と考えられた。 ③ES細胞由来の大脳オルガノイド作成:Sakaguchi et al., Stem Cell Reports (2019)のプロトコールに従い、ES細胞由来の大脳オルガノイドを作成に着手している。安定した作成のために手技の安定が必要と考える。 上記の先行研究としてのshimogawa et al., NPJ Regen Med (2019)を、第78回日本脳神経外科学会学術総会で発表し、STROKE2020、第19回日本再生医療学会総会で発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①脳梗塞モデルの確立:症候性脳梗塞モデルの確立にあたり、現在のプロトコールでは症状が軽度であるため、改良が必要である。具体的には、経静脈的投与法の手技的安定が必要と考える。また、投与量および、投与から照射までの時間のさらなる検討が必要と考える。 ②三次元モーションアナライザーの解析:現在の脳梗塞モデルに対する三次元モーションアナライザーを用いた四肢の動きの解析では、麻痺側、非麻痺側間に差は認めなかった。さらなる評価方法の改善が必要と考える ③ES細胞由来の大脳オルガノイド作成:iPS細胞では分化誘導が不安定であるため、ES細胞を用いた大脳オルガノイド作成に取り組んでいるが、手技的に不安定であり、さらなる安定が必要と考える。 ④細胞移植:現段階では細胞移植には至っておらず、上記問題点の改善を得たのちに予定している。
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今後の研究の推進方策 |
①脳梗塞モデルの確立:症候性脳梗塞モデルの確立にあたり、現在のプロトコールでは症状が軽度であるため、改良が必要である。具体的には、経静脈的投与法の手技的安定が必要と考える。また、投与量および、投与から照射までの時間のさらなる検討が必要と考える。 ②三次元モーションアナライザーの解析:現在の脳梗塞モデルに対する三次元モーションアナライザーを用いた四肢の動きの解析では、麻痺側、非麻痺側間に差は認めなかった。さらなる評価方法の改善が必要と考える ③ES細胞由来の大脳オルガノイド作成:iPS細胞では分化誘導が不安定であるため、ES細胞を用いた大脳オルガノイド作成に取り組んでいるが、手技的に不安定であり、さらなる安定が必要と考える。 ④細胞移植:現段階では細胞移植には至っておらず、上記問題点の改善を得たのちに予定している。 上記に対して、京都大学高橋淳研究室ととりながら研究を進めてゆきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物を購入予定であったが、実験の都合から数に変更があり、余剰予算が発生したため。次年度の動物購入に充てる予定。
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