研究課題/領域番号 |
19K24318
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研究機関 | 城西国際大学 |
研究代表者 |
安齋 紗保理 城西国際大学, 福祉総合学部, 助教 (60649151)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 高齢者 / 社会参加 / 虚弱高齢者 |
研究実績の概要 |
2019年度は,虚弱高齢者を対象としたインタビュー調査を実施し,虚弱高齢者を対象とした質的調査のデータ分析および次年度実施の量的調査の質問項目の検討を行った。 虚弱高齢者は,調査時点で要支援認定を受けている者とし,A市地域包括支援センターを通じて対象者の募集を行い,2020年2月までに3名の調査が完了した。調査は,事前に作成したインタビューガイドに基づいた半構造化面接にて実施した。インタビューガイドには,「社会活動への参加および不参加理由」,「社会活動への参加を継続できる理由」,「社会活動への参加をやめた理由」が含まれた。インタビューの内容はICレコーダーに記録し,調査終了後,逐語録を作成した。分析は,逐語録から社会活動の参加および継続の阻害要因となっている部分をデータとして抽出し,コード化した。その後,コード化されたものを意味内容の類似性に基づきカテゴリー化した。 その結果,「社会活動の実施会場まで距離がある」,「社会活動に一緒に行く友人がいない」,「心身機能に衰えがある」,「社会活動に参加することで他の参加者へ迷惑をかける」,「社会活動実施において担える役割がない」が社会活動の参加および継続の阻害要因として抽出された。 抽出された5つの要因を基に,2020年度実施予定の量的調査の質問項目の作成を行った。作成に当たり,公衆衛生学分野の専門家1名および地域看護学分野の専門家1名,市担当課保健師1名と協議を行った。その結果,虚弱高齢者の社会活動の阻害要因を問う質問項目として,「自宅から歩いて行ける範囲に会場がなければ参加しない」,「一緒に行く友人・知人がいなければ参加しない」,「他の人より体力が低いと感じていれば参加しない」,「他の人と同じように参加できる自信がなければ参加しない」,「催しの手伝いをする必要があるならば参加しない」の5項目を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症の影響で予定していた対象者数の質的調査が行えなかったが,2019年度の実施予定であった虚弱高齢者を対象とした質的調査が行え,また,量的調査の質問項目の作成を完了することができたことから,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,新型コロナウイルス感染症の状況を鑑みながら,地域在住高齢者を対象とした量的調査および住民ボランティアを対象とした質的調査を実施し,最終報告書を作成する。 1.量的調査および質的調査(上半期) A市担当課,地域包括支援センターの協力を得て,虚弱高齢者および住民ボランティアのインタビュー調査を実施する。また,A市で実施する地域在住高齢者を対象とした悉皆調査において,2019年度に実施した質的調査より作成した虚弱高齢者の社会活動の阻害要因に関する質問を用いて調査を行い,その関連要因の分析を行う。 2.総合評価および最終報告書の作成(下半期) 質的調査,量的調査の結果から,虚弱高齢者の社会活動への参加促進に関する基礎資料をまとめ,最終報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で,インタビュー調査の実施件数が予定よりも少なかった。そのため,対象者に対する謝金,調査時の交通費,インタビュー調査の逐語録作成費用が生じなかったため。2020年度に,実施できなかったインタビューを実施し,その費用に充てる予定である。
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