研究課題/領域番号 |
19K24319
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西田 優紀 慶應義塾大学, スポーツ医学研究センター(日吉), 研究員(非常勤) (30845657)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 消化吸収率 / 施設入所高齢者 / ボンブ燃焼計 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、エネルギー摂取量、及び糞便中のエネルギーを測定することにより、意図しない体重減少を生じた施設入所高齢者の消化吸収率を明らかにすることである。 初年度は、本研究の着想のきっかけとなった過去のデータを整理し、論文化を進めた。過去のデータの対象は施設入所高齢者28名であり、二重標識水法より測定した実際のエネルギー摂取量と、給食の献立と残食率から計算した見かけ上のエネルギー摂取量を比較したところ、施設で運用されている見かけ上のエネルギー摂取量は、実際よりも平均で200kcal/日ほど過大評価されていることが明らかとなった。解析では、施設から提供された食事をほとんど完食している者だけを対象としたため、この200kcal/日の差には、残食評価で生じた誤差よりも、消化吸収率の低下が大きく影響している可能性が示唆された。過去のデータの解析結果は、本研究の仮説を支持する内容である。なお、執筆した論文については現在国際誌へ投稿中である。 論文執筆と並行して、エネルギーの吸収率に関する過去の文献調査も実施した。エネルギーの吸収率は、食事からのエネルギー摂取量と糞便中のエネルギー損失の差から計算される。先行研究では、ボンブ燃焼計を用いて糞便中のエネルギー損失が測定されている。しかし、ボンブ燃焼計を用いて糞便を燃焼させた場合、未消化の食物以外にも腸壁細胞や腸内細菌の死骸によるエネルギーも含まれることが考えられる。この点については先行研究の中でも言及されていないため、未消化の食物以外の要因が吸収率の測定に及ぼす影響についても今後同時に検討していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内においても新型コロナウィルス(COVID-19)が流行している状況から、高齢者施設への入所や糞便の回収に伴う感染のリスクが極めて高いと判断し、測定の開始を見合わせているため。
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今後の研究の推進方策 |
測定の方については、新型コロナウィルスが終息次第、開始できるように準備を整える予定である。当面は、消化吸収率に関するシステマティックレビューを行い、加齢に伴う消化吸収率の変化に関するエビデンスをまとめたレビュー論文の執筆を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により測定の開始を見合わせているため、次年度使用額が生じている。測定の目途が立ち次第、備品購入等の予算を執行する予定である。
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