研究課題/領域番号 |
19K24320
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
藤野 雄次 順天堂大学, 保健医療学部, 助教 (00847155)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 振動刺激 / 主観的身体垂直認知 / 健常者 / 脳卒中 |
研究実績の概要 |
身体の垂直性を判断する能力(主観的身体垂直認知:SPV)に対し、後頚部への振動刺激がいかなる影響をおよぼすかを検証した。 対象者は健常成人24例および脳卒中患者2例とし、健常成人では振動刺激側は左右に無作為に振り分け、脳卒中患者では麻痺側とし、刺激条件は振動周波数80Hz、刺激時間10分とした。 SPVの測定には、電気垂直測定機器(Electrical Vertical Board; EVB)を使用し、測定条件は足底非接地、腕組みの姿勢とした。検者は、EVBを15°または20°の位置から1.5°/ sの速さで前額面上で座面を動かし、対象者の身体が垂直と感じた時点での座面の角度をデジタル角度計から測定した。 SPVの計測は、開始位置(左右)と角度(15°・20°)がPseudorandomになるように、1セッションに計8回実施した。角度は、垂直位を0°、健常者では右側への傾きをプラス、左側への傾きをマイナスの値と定義し、脳卒中患者では非麻痺側への傾きをプラス、麻痺側への傾きをマイナス値とした。1セッション8試行の平均(傾斜方向性)と標準偏差(動揺性)を算出し、SPVは振動刺激前・刺激中・刺激後の3セッション(計24回)測定した。 その結果、健常成人における傾斜方向性は振動刺激によって影響をうけないのに対し、動揺性は振動刺激によって減少し、刺激側による相違は少ないことが示唆された。脳卒中例のデータはCOVID-19の影響により進捗が遅れており、データ数が少ないため統計的解析には至っていないが、データを蓄積して振動刺激による影響を健常成人と比較し、治療的手段として発展させるべく検証を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
健常者に対する研究はおおむね順調に進行していたが、脳卒中患者ではCOVID-19関連の業務や感染対策の観点から運用が制限されていた。現在、測定が再開され、速やかにデータを蓄積していく。
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今後の研究の推進方策 |
今後、健常高齢者の被験者募集を募り、身体垂直性に対する後頚部振動刺激の加齢変化を調査する予定である。また、引き続き脳卒中患者のデータを収集し、後頚部振動刺激による特性を解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により、協力施設での健常高齢者データの取得が困難となり、電気垂直測定機器を順天堂大学に導入して測定する必要が生じた。また、研究の遅れにより、論文化に伴う英文校正費を計上する必要がある。
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