我々は、骨格筋の活動制限による廃用性筋萎縮時のリボソーム量の減少について検討してきた。骨格筋の活動制限によって、筋萎縮に先行してタンパク質の翻訳の場であるリボソームの量が減少すること、リボソーム合成が低下することが先行研究により明らかとなっている。そこで本研究では、活動制限がリボソームの分解に関わるタンパク質の発現を高める可能性について検討した。本研究において筋萎縮モデルであるマウスの下肢ギプス固定モデルと坐骨神経切除モデルを用いて比較検討した結果、両モデルにおいてリボソームの分解に関わるタンパク質の発現が高まることが明らかとなった。より詳細な関係性を明らかにするため、骨格筋培養細胞(C2C12)において、デキサメタゾンの投与による筋萎縮時にリボソーム分解に関わる因子をノックダウンした。その結果、リボソーム分解に関わるタンパク質のノックダウンは対象群と比較して、リボソーム量が減少することが明らかとなった。これらの結果より、リボソーム分解に関わるタンパク質の発現亢進は、リボソーム量減少において保護的な役割をしている可能性が新たに示唆された。
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