研究課題/領域番号 |
19K24324
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
木伏 紅緒 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 助教 (30844998)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 表面筋電図 / 動作分析 / 筋シナジー / 歩行 / 学習 |
研究実績の概要 |
ヒトの筋骨格系は約200種以上の骨および約400種以上の骨格筋という莫大な自由度で構成されており、神経機構に冗長自由度の低次元化を担う機構を仮定しないと、筋骨格系の協調的な制御は達成しえないと考えられてきた。この課題に対する制御戦略のひとつとして、筋シナジーというモジュール式制御機構が提唱されている。筋シナジーは、いくつかの筋を協調的に制御する機構を指す。これまで様々な動作における筋シナジーの特性が調べられてきたが、新しい歩行動作パターンを学習する際の筋シナジーの形成機序については解明の余地が多く残されている。これを明らかにすることは、歩行の柔軟な適応性がどのような制御則のもとで発現するかについての理解を深める。そこで本研究は、新規歩行パターンの学習における筋シナジーの形成機序を明らかにすることを目的とした。 具体的に本研究では、遊脚速度を変化させるような学習課題を構築し、その課題を学習していく過程での筋シナジーの変化を明らかにする。遊脚速度を変化させるような学習課題はこれまで提案されていないため、独自に考案する必要があった。2019年度はこのシステムの構築に必要な物品の購入とシステムの構築を進めることを予定しており、計画の通り進めてきた。遊脚速度をフィードバックするための機材として、モーションキャプチャーシステムを購入した。現在は、購入したモーションキャプチャーシステムを用いて、実験参加者の足部に張り付けた反射マーカーの位置座標をリアルタイムにビジュアルフィードバックするシステムの構築を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度中にビジュアルフィードバックシステムの構築に必要な物品を購入して、システムの構築を完了させる予定であった。適切な物品の選定・購入は計画の通り遂行されたが、ビジュアルフィードバックシステムの完成に至らなかったため、遅れているという評価とした。完成に至らなかった要因としては、リアルタイムストリーミングのプログラム構築のために、申請者がこれまで取り扱ったことのないC言語の運用が必要であったことがまず挙げられる。また現在、新型コロナウイルスの影響で大学への立ち入りが禁止されており、システムの構築および予備実験を進められなかったことも要因として挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、計画の遅れの原因であるビジュアルフィードバックシステムの構築を早急に進める。そして、大学への立ち入りが許可された後に、ビジュアルフィードバックシステムを用いた予備実験を行う。2020年秋に本実験の実施を目指し、本実験中に筋シナジーの分析も進める。得られた研究成果は、2021年度に開催される国際学会で発表することを目指す。そして、国際誌への投稿準備を進める予定である。
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