研究課題/領域番号 |
19K24325
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研究機関 | 横浜商科大学 |
研究代表者 |
中村 宣博 横浜商科大学, 商学部, 講師 (10843625)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2022-03-31
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キーワード | 筋力トレーニング / 動脈硬化 / 動脈圧受容器反射感受性 |
研究実績の概要 |
動脈圧受容器反射は短期的な血圧変動に対して血圧の恒常性を維持する最も重要な調節機構である。この反射の感受性は加齢や高血圧によって鈍化することが報告されている。また、動脈圧受容器反射感受性の鈍化が重篤な不整脈のリスク増大につながることや急性心臓死の前兆となることが報告されている。動脈圧受容器反射は大動脈洞および頸動脈洞が動脈の伸展を感知し、その程度に応じて血圧を調節しているため、大動脈や頸動脈といった動脈の硬化度が動脈圧受容器反射の感受性の低下と関連することが報告されている。 筋力トレーニングは日常生活動作(ADL)の改善ひいては健康寿命の延伸に寄与することが期待されており、広く推奨されている。一方、筋力トレーニングは動脈硬化を促進させることが報告されている。また、いくつかの研究では、習慣的に筋力トレーニングを実施している者(鍛錬者)は同年代の非鍛錬者よりも動脈硬化度が高いことが示されている。さらに、メタ解析においても同様の結果が得られている。しかし、この動脈硬化がどのような弊害を有しているかについてほとんど検討されていないのが現状である。 先行研究では、習慣的な運動による動脈の硬化度の変化が動脈圧受容器反射の感受性を変化させることが示唆されている。以上のことから、筋力トレーニングに伴う中心動脈スティフネスの増加およびコンプライアンスの低下は動脈圧受容器反射の感受性を鈍化させる可能性があると思われる。そこで、本研究課題は筋力トレーニングに伴う動脈硬化が動脈圧受容器反射の感受性に及ぼす影響を検討することとした。 横断研究にて、筋力トレーニング鍛錬者が非鍛錬者よりも動脈硬化度が高く、動脈圧受容器反射感受性が低いことが明らかとなった。今後はトレーニング介入実験にて、横断研究の成果の確認を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大に伴う被験者募集が困難であり、トレーニング介入実験を実施することができなかったため、現状研究が遅れている。しかし、即座に実験を開始できるように倫理委員会の承認を得ており、予備実験を継続的に行っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は新型コロナウィルス感染予防を徹底し、トレーニング介入実験を行う予定である。コントロール群の測定は感染予防をしやすいため、優先して実施する。トレーニング介入群の測定は大学の夏季休業中に実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
トレーニング介入実験を行う予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大により実施することができなかったため。
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