研究課題
本研究の目的は、慣性センサを用いた身体運動及び関節負荷の新たな評価法を検討することである。このような動作の評価をより簡便に行えることで、医療現場内外での運動指導に応用が可能となる。課題1として身体重心及び下肢の各体節の加速度特性から、関節への力学的負荷の推定が可能であるかを検討する。課題2では変形性関節症の発症リスクが高いことで知られる、高齢者の身体重心及び下肢体節の加速度特性を若年者と比較することで、加齢によって生じる動作の変化が関節への負荷に与える影響を明らかにする。2020年度は、健常者学生22名を対象に歩行、起立着座動作、階段昇降等の分析を慣性センサと三次元動作解析装置を用いて実施し、関節モーメント等先行研究において関節負荷の指標とされているパラメータの推定が慣性センサで可能であるか検討した。その結果矢状面における矢状面の膝関節モーメントを下腿の角速度より推定可能であることが示された。このことは先行研究において示されている結果に一致するものであった。しかし、体幹に対する下腿の角速度は膝関節モーメントとより強い関連があることが示された。このことから、単体のセンサのみでなく体幹部のセンサと組み合わせることによって、より精度の高い関節負荷の推定が可能であることが示唆された。
4: 遅れている
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、被験者となる学生の入構が制限され、計画から実験の実施が大幅に遅れた。また、高齢者を対象とした計測を行う予定であったが、当初予定していた大学祭での参加者募集が学祭の中止により不可能となり、対象者のリクルートが難航している。
健常者のデータ分析を続けるとともに、地域在住高齢者の計測に向けてリクリートを学外にて行う。具体的には足立区内のコミュニティセンターや介護予防教室等に協力を依頼し、対象者となる健常高齢者のリクルートを行う予定である。
研究計画より進行が大幅に遅れいているため、研究被験者に対する謝金ならびに成果発表のための旅費、論文投稿にかかる校正代などとして次年度に残額を使用する予定である。
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International Journal of Rehabilitation Research
巻: 12 ページ: ahead of print
10.1097/mrr.0000000000000464