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2019 年度 実施状況報告書

骨格筋由来のIGF-Iが運動による脳の健康増進に及ぼす影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K24330
研究機関立命館大学

研究代表者

横川 拓海  立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (80844323)

研究期間 (年度) 2019-08-30 – 2021-03-31
キーワード運動 / 海馬 / インスリン様成長因子
研究実績の概要

本研究では、骨格筋由来のインスリン様成長因子1(IGF-I)が、運動による脳の健康増進において役割を果たしている可能性を検証することを目的としている。骨格筋由来のIGF-Iが脳に影響を及ぼす分子機序としては、骨格筋から分泌されたIGF-Iがマイオカインとして血中から脳に輸送される可能性が考えられる。本年度は、骨格筋由来のIGF-Iが血中に分泌されているか、運動により血中のIGF-I濃度は変化するかの2点を主として検証した。
骨格筋由来のIGF-Iが血中濃度に及ぼす影響を検証するために、骨格筋特異的なIGF-I欠損マウスを用いて、血漿IGF-I濃度を測定した。タモキシフェンの投与により骨格筋IGF-Iの欠損を誘導し、2、4、16、20週間後にマウスの血漿をサンプリングした。得られた血漿サンプル中のIGF-I濃度を酵素結合免疫測定法(ELISA)により検討した。その結果、全てのタイムコースにおいて、血漿IGF-I濃度の統計学的に有意な変化は検出されなかった。従って、骨格筋由来のIGF-Iは血中濃度に影響を与えていないことが示唆される。
IGF-Iは運動誘導性のマイオカインとして、運動効果に関与している可能性が示唆されているが、自発性走運動の際の血中IGF-I動態に関しては十分な知見が得られていない。従って、野生型のC57BL/6Jマウスに対し、海馬のシナプス分子の発現変化が観察できる4週間の自発性走運動を施し、IGF-Iならびに運動誘導性のマイオカインであることが報告されているcathepsin Bの血漿濃度をELISAにより測定した。その結果、自発性走運動により血漿cathepsin B濃度は増加したが、IGF-I濃度は統計学的な変化が検出されなかった。以上より、自発性走運動は血中IGF-Iを増加させないことが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通り、遺伝子欠損の条件検討を行い、タモキシフェンの投与によりIGF-If/f; Has-mcmマウスの骨格筋においてIGF-Iの遺伝子発現が減少することを確認することができた。一方で、骨格筋IGF-Iが欠損しても、血中のIGF-I濃度に関しては統計学的な変化が検出されないとの先行研究とは異なる結果が得られている。また、長期的な自発性走運動を施しても血中のIGF-I濃度は変化しないとの知見も得ている。以上のように、骨格筋IGF-Iが脳の健康増進にもたらす影響を考察する上で重要な知見を得ていることから、本研究がおおむね順調に進展していると判断した。

今後の研究の推進方策

次年度は、骨格筋IGF-Iが脳に与える影響を検討する。骨格筋特異的にIGF-Iを欠損させた後、行動解析(オープンフィールド試験・高架式十字迷路試験・強制水泳試験・Y迷路試験・バーンズ迷路試験)を実施することで、情動ならびに学習機能を評価する。行動解析後に脳組織をサンプリングし、生化学解析ならびに組織学解析を実施することにより、海馬における成長因子・シグナルタンパク質・シナプス分子の発現量を評価する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] The Protective Effect of Brazilian Propolis against Glycation Stress in Mouse Skeletal Muscle2019

    • 著者名/発表者名
      Egawa Tatsuro、Ohno Yoshitaka、Yokoyama Shingo、Yokokawa Takumi、Tsuda Satoshi、Goto Katsumasa、Hayashi Tatsuya
    • 雑誌名

      Foods

      巻: 8 ページ: 439~439

    • DOI

      10.3390/foods8100439

  • [学会発表] Association between Serum 25-hydroxyvitamin D concentration and muscle mass and strength in Japanese elderly people2020

    • 著者名/発表者名
      Yamamura, M., Yasuda, J., Yokokawa, T., & Fujita, S
    • 学会等名
      International Conference on Frailty and Sarcopenia Research 2020
    • 国際学会
  • [学会発表] Time course effects of voluntary running exercise on protein products of immediate early genes in murine hippocampus2019

    • 著者名/発表者名
      Yokokawa, T., Hayashi, T., & Fujita, S.
    • 学会等名
      24th Annual Congress of the European College of Sport Science
    • 国際学会
  • [学会発表] The influence of combination of Aurantiochytrium intake and resistance exercise on AMPK and mTORC1 signaling in murine skeletal muscle2019

    • 著者名/発表者名
      Mori, R., Yokokawa, T., Katamoto, Y., Ishihara, K., Iwata, O., Asayama, Y., Suzuki, K., Fujita, S.
    • 学会等名
      24th Annual Congress of the European College of Sport Science
    • 国際学会
  • [学会発表] 骨格筋特異的IGF-I欠損が骨格筋ならびに全身性の代謝に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      横川 拓海, 木戸康平, 森理紗子, 佐瀬晃平, 増山律子, 林達也, 藤田 聡
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] 坐骨神経切除による骨格筋萎縮はビタミンD受容体およびCYP27B1のタンパク質発現量の増加を伴う2019

    • 著者名/発表者名
      森理紗子, 横川拓海, 藤田聡
    • 学会等名
      第42回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] ラパマイシンは単回レジスタンス運動に伴う骨格筋のインスリン感受性亢進効果を高める2019

    • 著者名/発表者名
      木戸康平, 佐瀬晃平, 横川拓海, 藤田聡
    • 学会等名
      第74回 日本体力医学会大会
  • [学会発表] 脱神経がマウス骨格筋におけるミトコンドリア翻訳因子の発現量に及ぼす影響2019

    • 著者名/発表者名
      横川拓海, 森理紗子, 菅唯志, 伊坂忠夫, 林達也, 藤田聡
    • 学会等名
      第74回 日本体力医学会大会
  • [学会発表] マウスにおける経皮的電気刺激によるレジスタンス運動モデルの検討2019

    • 著者名/発表者名
      森理紗子, 横川拓海, 藤田聡
    • 学会等名
      第74回 日本体力医学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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