研究課題/領域番号 |
19K24345
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
松田 裕貴 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90809708)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | スマートシティ / 観光 / 心理状態推定 / 感情認識 / 満足度推定 / ウェアラブルコンピューティング |
研究実績の概要 |
観光客の心理状態を観光中の「仕草」を手がかりに推定する手法を検討しているが,この心理状態は観光客の持つ属性(文化圏,性別,性格など)によって異なった仕草として表出する可能性がこれまでの研究で明らかとなっている.そこで本研究では,心理状態推定モデルへの観光客属性の与える影響を分析するとともに,観光客属性の違いによる影響を考慮した特徴量抽出・推定モデル構築によって,観光客の心理状態推定の精度向上を図る. 令和元年度は,下記研究課題について実施した. ◯フェーズ1(観光客属性分析による仕草表出メカニズムの解明): 観光中の仕草センシングデータ(頭部・身体・眼球運動,脈波,皮膚電位,自撮り動画など)を用い観光客の観光中の心理状態を推定するモデルにおいて,観光客属性の一つである観光客の国籍の観点から統計分析を行った.日本人12名・ロシア人10名の観光時データを用い,観光客の国籍と推定モデル構築に使用した特徴量における2要因の分散分析を行ったところ,感情推定においては,特徴量の差による影響(主効果),および国籍・特徴量の交互作用(相殺作用)が,満足度推定においては,国籍の差による影響(主効果)が認められた.具体的には,感情推定においては,a) 眼球+頭部・身体運動,b) 自撮り動画(音声),c) 自撮り動画(映像)の特徴量を用いて推定モデルを構築した場合において国籍群間の統計的有意差が認められた.満足度推定については,日本人と比較してロシア人の満足度の推定精度が統計的に低くなることが認められた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の3つのフェーズのうち,フェーズ1(観光客属性分析による仕草表出メカニズムの解明)にあたる,観光中の仕草センシングデータを用いた推定モデルに対し観光客属性(特に,国籍)の違いが及ぼす影響についての統計分析を令和元年度では実施した.この分析結果については,現在国際会議に論文を投稿を完了している.この分析結果を元に,特徴量抽出を高度化する(フェーズ2)とともに,観光客属性の違いによる影響を考慮した推定モデルを構築する(フェーズ3)ことが可能であると考えている. 以上から,おおむね予定通りに研究開発が進捗していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに収集したデータを用いた統計分析を引き続き継続するとともに,観光客の心理状態推定モデルの精度向上を図る.また,新たなデータ収集実験を実施した上で,モデル精度評価を行う. 令和2年度は,下記研究課題について実施する. ◯フェーズ2(特徴量抽出の高度化): 複数のセンサから得られたデータの環境ノイズの状況を分析することで時系列的により信頼性の高いセンサを判断し,使用すべき特徴量を選択する方式を検討する. ◯フェーズ3(観光客属性差・環境ノイズにロバストなモデルの構築): 令和元年度の分析結果およびフェーズ2で得られる知見を元に,より精度の高い観光客の心理的コンテキスト推定モデルの構築する. 以上により,観光客属性差・環境ノイズにロバストなマルチモーダル心理状態推定システムを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い,年度末に参加予定であった学会の現地開催が中止されたこと,また実地における実験が実行できなかったことが原因となっている.次年度使用額については,本研究課題の成果についての国際ジャーナル掲載料などに使用することを計画している.
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