研究課題/領域番号 |
19K24362
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蜂須賀 知理 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (50849221)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | マルチモーダル刺激 / 繰り返し提示 / 感受性変化 / ヒューマンインタフェース |
研究実績の概要 |
自動車ドライバの居眠り防止や注意喚起、居住空間の快適性向上などを目的として、光や音に代表される感覚刺激を人間に提示(提供)する方法が提案されている。申請者はこれまでの研究において、単独刺激を一度提示した場合の居眠り防止効果について明らかにしてきた。しかし、同一刺激を継続して提示した場合の人間の感受性変化(慣れ・飽き)に関する知見は明確化されていない。 そこで本研究では、注意喚起や居眠り防止を目的とした場合に刺激強度が大きいと考えられているマルチモーダル刺激について、その繰り返し提示による感受性変化の基本的知見を明らかにすることを目的とした。 具体的な取り組みとしては、(1)単一刺激に対する感覚的強度の順位づけを主観評価および生体信号計測によって実施し刺激量の違いを明確にする。(2)順位付けに基づいて作成した単一刺激、複合刺激を用い、感覚的強度および感受性変化(慣れ・飽き)発生時間を計測する。これらの取り組みを通して、刺激の繰り返し提示による感受性変化の基本的知見を明らかにすることを計画している。 2019年度は、実験環境の構築と単一刺激に対する感覚的強度の順位付け実験を実施した。実験環境としては生体信号計測環境を整え、脳波・心電・呼吸・筋電・発汗の同時計測を可能とした。また、画像からの表情計測システムの構築にも着手した。単一刺激に対する感覚的強度順位付けについては、実験参加者ごとの視覚刺激、聴覚刺激別の強度順位を取得した。本年度の取り組みにより、次年度実施予定のマルチモーダル刺激を用いた実験の準備ができたが、COVID-19感染拡大により対面実験が困難になったため、次年度の実験計画の見直しを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度計画していた実験環境の構築を完了し、単一刺激に対する感覚的強度順位付けについても予備実験を完了することができた。しかし、COVID-19感染拡大に伴い、生体信号計測を含む対面実験の遂行が困難になったため、オンラインでの実験実施に向けた研究計画の見直しが必要になった。 オンラインでの人の客観的状態計測手法として、画像からの表用計測システムの構築に着手している。また、非接触での眼球運動計測の導入についても検討を開始した。オンライン実験に向けて追加の実施項目が生じたため、当初の予定よりもやや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
(1)単一刺激に対する感覚的強度の順位づけを主観評価および生体信号計測によって実施し刺激量の違いを明確にする。(2)順位付けに基づいて作成した単一刺激、複合刺激を用い、感覚的強度および感受性変化(慣れ・飽き)発生時間を計測する。これらの取り組みをオンラインで実施可能とするため、追加で発生した実験環境構築および2019年度に対面で実施した実験のオンライン実施を早期に行う。追加の実験環境構築としては、主に画像からの表情計測システムの構築を行う。 追加項目の実施完了後、速やかに2020年度に予定しているマルチモーダル刺激の繰り返し提示実験を実施し、感受性変化の基礎的知見を定量的に解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施の予備検討、予備実験に時間を要し物品購入等を見送っていたこと、またCOVID-19感染拡大に伴う対面実験の中止によって実験備品、消耗品、人件費等について今年度の使用分が発生しなかったことを理由とする。さらに、学会の中止・オンライン開催に伴い、学会参加旅費、各種現地調査旅費を使用しなかったために次年度使用額が生じた。当初予定していた実験のオンライン実施への移行等、研究計画の見直しによって必要となった物品購入を次年度早期に実施する。また、研究成果報告を予定している学会等について開催状況を再度確認することで参加費・旅費についての見積もりを改め、計画的かつ速やかに予算を執行する。
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