研究課題/領域番号 |
19K24363
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
名波 拓哉 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90830787)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 神経模倣システム |
研究実績の概要 |
網膜上に投射される二次元情報から外界の三次元構造を推測する視覚情報処理は困難な課題であり、その人工的な実現は未だ途上である。一方で生物、特に昆虫は、そのような高度な視覚情報処理を非常にコンパクトなシステムで実現する。本研究の目的は、神経系を電子回路上で効率的に再現するシリコン神経ネットワーク技術を用いて、昆虫の視覚神経系を模倣することで、視覚情報を効率よく処理する人工システムを構築することである。 本年度は、特に視覚神経系を再現する神経ネットワークモデル構築について研究を行った。はじめに、昆虫の神経系を専門とする神経科学研究者と複数回のミーティングを行いつつ、視覚神経系の最新の知見を整理し、モデル構築の指針を検討した。つぎに、視覚神経系の神経細胞を再現する為の基盤技術として、これまでに研究してきた神経細胞モデリング技術について特に、モデルパラメータの最適化手法をまとめ発表した。また、本技術が実際の神経細胞から得られたデータについても適用できることを、ショウジョウバエの4種類の神経細胞から得られたデータを用いて確かめた。 また、電子回路上への神経ネットワークモデルの実装に向けて、Field-Programmable Gate Array(FPGA)を用いて、ネットワークモデルの実装や外部カメラとの通信手法について検討した。特に、来年度に行うFPGA実装に向けて、FPGA内部の神経細胞ユニットと外部機器の高速通信用の、シリアル通信ユニットの構築を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画通り進捗している。本研究では、申請者のこれまでの専門から離れた領域である神経科学についての最新の知見収集するために、国内外の実験神経科学研究者を訪問し、本研究についてのアドバイスを頂いた。また、来年度の研究遂行に向けて、神経ネットワークモデリング及び、FPGA実装技術について、着実に課題を消化した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き、昆虫の視覚神経系のネットワークモデルの構築を行う。特に、今年初めにハワードヒューズ医学研究所から公開された、ショウジョウバエ全脳のコネクトームデータを活用予定であり、必要に応じて、ハワードヒューズ医学研究所の研究者と連携し研究を行う。また電子回路実装において当初の計画では、カメラ部分に人工複眼を用いる予定であったが、利便性がよく高い画素数を持つ市販のCMOSカメラを使用することを、合わせて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画に基づき、機器の購入、海外出張、学会発表を次年度に行うため。
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