研究課題/領域番号 |
19K24382
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
柴田 嶺 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00802654)
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研究期間 (年度) |
2019-08-30 – 2021-03-31
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キーワード | 生態系サービス / 文化的サービス / レクリエーション / ソーシャルメディア分析 / ビッグデータ |
研究実績の概要 |
本研究はビッグデータにより取得した文化的サービス利用の時空間変動パターンと春植物の分布・開花情報を統計モデルにより関連づけることで、レクリエーションなどの文化的サービス利用を生み出す鍵となる生態系の要素を明らかにすることを目的とする。 初年度は春植物の分布情報の収集、文化的サービス供給地点のデータベース化、自然的・社会的環境情報のGIS化、そして春植物開花情報の収集を行い、次年度の統計モデル化に必要なデータの準備を行った。 新潟県内の春植物の分布情報を文献調査により収集し、当初予定していたオオミスミソウ、カタクリ、ミズバショウに加え、新潟県の重要な観光資源となっているユキツバキの分布情報を整理した。文化的サービス供給地点のデータベース化については、当初予定していた文献調査に加えてソーシャルメディア分析を活用することで、新潟県内のハイキングコースなどのアウトドア拠点や春植物の群生地などの自然関連の観光地情報を収集し、データベース化が完了した。そして、これらの各文化的サービス供給地点の周囲の自然的・社会的環境情報(森林率や人口密度など)や気候情報をGISを用いて整理した。また、各対象植物の開花情報については当初予定していた野外調査を取り止めた代わりにソーシャルメディアやウェブ情報の分析により開花情報の収集を行うことで、新潟県内の広範囲にわたる多地点の開花情報を取得することができた。 以上より、最終年度に文化的サービス利用の時空間変動パターンと春植物の開花情報との関係性を統計モデル化するために必要な情報が整備されつつあり、おおむね順調に研究は進捗している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
春植物の分布情報の整理や文化的サービス供給地点データベースの作成、GIS情報の整備については当初の予定通りに完了した。一方、3月から5月にかけて春植物の開花データを野外調査により取得予定であったが、COVID-19の拡大に伴う外出自粛の影響により野外調査を途中で断念した。そのため、予定を変更しソーシャルメディアやウェブ情報の分析により対象の各春植物の開花情報の収集を行ったが、分析に十分な質・量のデータを取得することができた。以上により、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定では令和2年3月から6月にかけての人口流動パターンを携帯電話位置情報ビッグデータにより把握することで、文化的サービス利用の時空間変動を分析する予定であったが、COVID-19の拡大に伴う外出自粛の影響により例年通りの人口流動パターンを把握することが困難となった。そのため携帯電話位置情報ビッグデータの利用を断念し、過去数年分のデータを利用可能なソーシャルメディアを活用して文化的サービス利用の時空間変動を分析することとした。今後はソーシャルメディア投稿データを取得し、投稿されたテキストや写真、位置情報等を分析することで文化的サービス利用と関連する投稿の抽出を行い、文化的サービス利用の時空間変動データを取得する。 そして、取得した文化的サービス利用の時空間変動データを目的変数とし、説明変数に春植物の開花データや周囲の自然的・社会的環境情報などを用いて統計モデルを構築することにより、文化的サービス利用における各要因の影響の大きさを定量的に評価する。
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