本研究では、全球を対象に気候変動およびその緩和策が対流圏オゾン濃度変化を通じて作物収量、食料消費と飢餓リスク人口への影響を評価した。その結果、強い気候変動緩和策を実施した場合の飢餓リスク人口は気候変動なし・緩和策なしのシナリオと比べて、気候変動影響により約980万人増加する一方、オゾン濃度軽減により約550万人減少し、合計で約380万人増加した。地域別に見ると、オゾン濃度軽減による食料消費カロリーの増加および飢餓リスク人口の減少に大きな効果が見られたのはインド、その他アジアなどの深刻な飢餓に直面する地域であり、本研究知見は、途上国を中心に気候変動対策導入のインセンティブになると言える。
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