研究課題
①埼玉県坂戸市内の農業用水路において、特定外来生物のオオフサモ、外来種のコカナダモ、在来種のホザキノフサモに付着する水生動物の群集構造を比較した。いずれの水生植物においてもユスリカ幼虫が優占したが、水生植物間で群集構造に違いが見られた。特にオオフサモとコカナダモでは外来の微小巻貝であるヒロマキミズマイマイおよび外来種の疑いのあるカワコザラガイが高い割合を占めた。②外来水生植物が陸域食物網に及ぼす影響を明らかにするため、オオフサモ葉上に生息する陸生・半水生節足動物の食物網構造の解明を試みた。2020年4月および9月に埼玉県本庄市内を流れる元小山川において調査を行った。捕食者として半水生のキクヅキコモリグモが採集され、その餌生物と見られるミギワバエ類やユスリカ類が多数オオフサモの水上葉から採集された。東北大学にて炭素・窒素安定同位体比を測定する予定であったが、コロナウィルス感染症拡大のために測定はいまだ実施できていない。③オープンデータと市民調査の結果を活用して、外来水生植物3種(オオフサモ、オオカワヂシャ、ミズヒマワリ)について関東地方でのポテンシャルマップを作成した。これらの分布データと土地利用や気温、降水量等の環境データを3次メッシュごとに格納し、最大エントロピー原理を用いたMaxEntによる推定を行った。その結果、いずれの水生植物においてもAUC値が0.9前後であり、精度の高いモデルが構築できた。いずれの水生植物においても、平野部の河川周辺での分布確率が高く、森林面積の割合が大きい山間部では確率低いという点で共通していた。しかし、オオカワヂシャは秩父地域等の山間部での分布確率も低くはない点で、他の2種とは異なる傾向を示した。オオフサモについては、森林の多い房総半島においても分布確率が比較的高い点で特徴的であり、農業用溜池での分布を反映したことが原因と推察された。
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