本研究は、複数衛星データの統合利用による、空からの森林消失検知手法の開発を主眼としている。前年度までに開発されたベイズ的機械学習アルゴリズムの現地検証に活用するため、本年度は既に機関で所持している通常の光学ドローンに加え、森林内での植生の活性を調べる目的で熱赤外ドローンも導入して多面的な現地検証手法の確立をめざす予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大状況に鑑み国内外のフィールドでの調査が困難となった。そこで方針を転換し、衛星データの統合利用技術の更なる応用可能性を調査することとした。具体的には、ベトナム地域における時系列の土地被覆変動を、分解能の異なるふたつの光学センサ(MODIS、Landsat)を統合利用することで調べた。熱帯地域は雲の被覆による光学センサの観測頻度低下が課題であるが、汎用性の高い機械学習手法(ランダムフォレスト)を用いてMODISとLandsatの関係性を学習することで、比較的高解像度(30m)ながら四半期ごとにwall-to-wallな衛星データセットを作成することができた。これをおよそ10000点の土地被覆リファレンスデータとともに機械学習させた結果、同一地域における既往の出版図(JAXA高解像度土地利用土地被覆図)よりも高精度な時系列土地被覆図を得ることができた。現在のところ成果公表には至っていないが、得られた土地被覆図にベイズ的機械学習アルゴリズムを適用して更なる精度向上をはかるなど、今後の発展が見込まれる。
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