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2022 年度 実施状況報告書

自己参照に関わる神経基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K24680
研究機関高知工科大学

研究代表者

出馬 圭世  高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (90761875)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード自己 / 自己参照 / fMRI / ニューロイメージング
研究実績の概要

本研究計画では以下の2つのプロジェクトを実施し、それぞれ以下の目的を達成する;1)自己参照に関する詳細な情報処理過程を解明する(プロジェクト1)、2)刺激が自己に当てはまる程度の情報を処理する神経細胞群の存在を明らかにする(プロジェクト2)。

プロジェクト1に関しては、予定していたfMRI実験を終了しデータ解析がほぼ終えており現在は論文執筆中でる。今年度中に国際科学雑誌に投稿する予定である。内側前頭前野の自己参照課題中の活動は、1)他者参照、2)自伝的記憶、3)内省、の3つの認知プロセスそれぞれと共通の活動パタンを示すと同時に、それぞれの活動パタンはシステマチックに異なるという非常に興味深い結果が得られている。この結果は今年度8月の日本神経科学学会でポスター発表の予定である。

プロジェクト2に関しては、予定していた二つのfMRI実験およびそれらのデータ解析を終えている。提示される刺激(例、大学生、日本人、サッカー部、など)が自分のアイデンティティーにとってどれくらい重要かに応じて内側前頭前野の活動パタンがシステマチックに異なるという興味深い結果が得られた。これは我々の脳が自分のアイデンティティーにとっての重要さという形で自己概念を脳内(特に内側前頭前野)に保持しているということを意味している。執筆した論文は神経科学の代表的国際誌であるJournal of Neuroscience誌に採択された。まだこの結果は今年度4月に米国で開催されたSocial & Affective Neuroscience Society学会にてポスター発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目まではコロナの影響もあり当初の計画からやや遅れていたが、今年度はfMRIデータ収集が順調に進み、予定していたすべてのfMRI実験を終えることができた。データ解析も予定していた通り順調に進んでおり、プロジェクトの一つは論文として出版されることが決まっている。またどちらのプロジェクトの結果も学会での発表済みもしくは今後発表予定が決まっている。
またその他にも自己に関する研究の発展として、自己の実際の行動と恋人の自分に対する期待(相手からの理想自己)との乖離がどのように行動に影響するかという研究や、他者から見られる自己(自分についての評判)に基づく意思決定についての研究も現在実施中である(前者は現在論文投稿中、後者はデータ収集中)。

今後の研究の推進方策

プロジェクト1については、論文執筆・学会発表を行い、今年度中に海外学術雑誌に投稿する予定である。プロジェクト2に関しては、既に論文が採択されている。また両プロジェクトの発展として現在もう一つの追加fMRI実験を実施する予定である。具体的には、これまで行った二つのプロジェクトでは他者条件に用いる他者がどちらの実験でも「自分と最も仲の良い友人」であった。しかし、先行研究では有名人(例、その国の大統領、など)が他者条件で使われることがあり、このような他者条件の違いで脳活動(特に内側前頭前野の活動)にどのような違いがあるのか、また自己条件と二種類の他者条件はそれぞれどのような関係になるのかなどわかっていなかった。追加のfMRI実験では特にこの点を検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響で予定していたサウサンプトン大学への出張ができなくなり主にその予算が余っている。今後は国際学会での発表などを予定している他、追加のfMRI実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] サウサンプトン大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      サウサンプトン大学
  • [雑誌論文] The self-concept is represented in the medial prefrontal cortex in terms of self-importance2023

    • 著者名/発表者名
      Levorsen Marie、Aoki Ryuta、Matsumoto Kenji、Sedikides Constantine、Izuma Keise
    • 雑誌名

      The Journal of Neuroscience

      巻: 未定 ページ: JN~RM-2178-22

    • DOI

      10.1523/JNEUROSCI.2178-22.2023

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] The neural representation of self-concept2023

    • 著者名/発表者名
      Marie Levorsen, Ryuta Aoki, Kenji Matsumoto, Constantine Sedikides and Keise Izuma
    • 学会等名
      Social & Affective Neuroscience Society
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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