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2023 年度 実施状況報告書

自己参照に関わる神経基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K24680
研究機関高知工科大学

研究代表者

出馬 圭世  高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (90761875)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード自己 / 自己参照 / fMRI / ニューロイメージング / 内側前頭前野 / mPFC
研究実績の概要

本研究計画では以下の2つのプロジェクトを実施し、それぞれ以下の目的を達成する;1)自己参照に関する詳細な情報処理過程を解明する(プロジェクト1)、2)刺激が自己に当てはまる程度情報を処理する神経細胞群の存在を明らかにする(プロジェクト2)。

プロジェクト1に関しては、予定していたfMRI実験およびデータ解析が終了し、現在は論文執筆中である。今年度中に国際科学雑誌に投稿する予定である。内側前頭前野の自己参照課題中の活動は、1)他者参照、2)自伝的記憶、3)内省、の3つの認知プロセスそれぞれと共通の活動パタンを示すと同時に、それぞれの活動パタンはシステマチックに異なるという非常に興味深い結果が得られている。それぞれの課題中の活動パタン同士の関係を重回帰分析およびVariance Partitioning Analysisにより詳細に検討することにより、自己参照課題中には少なくとも8つの異なる認知プロセスが関与することを示唆する結果が得られた。この結果は今年度4月にSocial & Affective Neuroscience Society学会にてポスター発表を行った

プロジェクト2に関しては、予定していた二つのfMRI実験およびそれらのデータ解析を終えている。提示される刺激(例、大学生、日本人、サッカー部、など)が自分のアイデンティティーにとってどれくらい重要かに応じて内側前頭前野の活動パタンがシステマチックに異なるという興味深い結果が得られた。これは我々の脳が自分のアイデンティティーにとっての重要さという形で自己概念を脳内(特に内側前頭前野)に保持しているということを意味している。執筆した論文は2023年に神経科学の代表的国際誌であるJournal of Neuroscience誌に採択されている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2年目まではコロナの影響もあり当初の計画からやや遅れていたが、予定していたfMRI実験は昨年度全て終了した。当初予定していた解析に加えて、重回帰分析およびVariance Partitioning Analysisにより複数の課題の活動パタン間の関連をより詳細に検討する解析を行なっていることから多少解析に時間を要しているが、プロジェクト1についての論文は今年度中に投稿する予定である(プロジェクト2についての論文はすでに出版済み)。

プロジェクト1&2はどちらも性格形容詞(例、正直な)や社会集団(例、大学生)、肉体的特徴(例、背が高い)が自分に当てはまるかどうかを判断する自己参照課題を使用している。現在は、これらのプロジェクトを発展させ、性格質問紙に回答中(「私は自分の人生に満足している」のような文章が自分に当てはまるかの判断をすることから、性格質問紙への回答も自己参照プロセスが存在する)の脳活動を取得することにより、内側前頭前野の自己参照プロセスにおける役割をより詳細に検討するfMRIプロジェクトも行なっている。

さらにその他にも自己に関する研究の発展として、自己の実際の行動と恋人の自分に対する期待(相手からの理想自己)との乖離がどのように行動に影響するかという研究や、他者から見られる自己(自分についての評判)に基づく意思決定についての研究も現在実施中である(前者は現在論文投稿中、後者はデータ収集中)。特に後者と関連し、今後福井大学との共同研究にて自閉症患者からデータを収集することを予定しており、自閉症患者における自己概念や自己の評判に基づく意思決定についての研究を予定している。

今後の研究の推進方策

プロジェクト1については、論文執筆を行い、今年度中に海外学術雑誌に投稿する予定である。プロジェクト2に関しては、既に論文が採択されている。また上述したように、他者から見られる自己に基づく意思決定についての研究も現在実施中であり、特に自閉症患者からもデータを収集することを予定している。さらに評判には社会規範の理解が重要であることから、社会規範を正しく理解しているかの個人差が安定して存在するか、さらに社会規範の理解の正確さの健常者と自閉症患者の違いを検討するプロジェクトも実施予定である(自閉症患者についての研究は福井大学との共同研究)。

さらに上述した性格質問紙回答中の脳活動を検討する研究についても、今年度中に追加fMRI実験を行うことを予定している。

次年度使用額が生じた理由

自閉症患者を対象にした実験に必要な倫理申請がスムーズに進まなかったため今年度に実験を行うこととなった。そのための出張費用(福井大学にてデータ収集)および被験者謝金(自閉症患者30名、健常者30名、オンラインでの質問紙調査約1000名)として使用する。
さらに追加のfMRI実験を行う予定であり、そのためのfMRI使用料・出張費用・被験者謝金(約40名)として使用する予定である。
その他、現在準備中の論文の投稿料も必要となる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] サウサンプトン大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      サウサンプトン大学
  • [学会発表] Dissecting the functions of the medial prefrontal cortex during self-referential processing with multi-voxel pattern analysis2024

    • 著者名/発表者名
      Marie Levorsen, Ryuta Aoki, Constantine Sedikides and Keise Izuma
    • 学会等名
      The 46th Annual Meeting of The Japan Neuroscience Society
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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