研究課題/領域番号 |
19K24684
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
熊谷 崇 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 准教授 (30704796)
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研究分担者 |
西田 純 分子科学研究所, メゾスコピック計測研究センター, 助教 (10907687)
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研究期間 (年度) |
2021-03-12 – 2024-03-31
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キーワード | 探針増強近接場顕微分光 / 先端ナノ計測 / 原子層物質 / フォノンダイナミクス |
研究実績の概要 |
本研究は、探針増強近接場顕微分光の技術を発展させ、原子層物質におけるフォノンダイナミクスを原子レベルで直接調べられる先端ナノ計測の開発と応用を目的とした。2023年度は、原子層物質の光励起(バンド間遷移)に伴う励起子およびキャリアとフォノンの相互作用とそのダイナミクスをナノ空間で直接観察することを目的として、探針増強近接場顕微分光と超高速・超広帯域パルスレーザーとを組み合わせた装置を構築した。具体的には、450-15000 nmの範囲で波長可変なパルスレーザーと組み合わせることによって、可視ポンプ-中赤外プローブ時間分解探針増強近接場顕微分光装置に実装した。この新しい計測技術によって、単層の遷移金属ダイカルコゲナイド(TMDC)における超高速光誘起ダイナミクスをナノスケールで可視化することに成功した。さらに、TMDCと六方晶窒化ホウ素(h-BN)の積層ヘテロ構造において、TMDCの電子励起がh-BNのフォノンモードに及ぼす影響を調べた。これらの結果について、現在論文投稿の準備を進めている。研究期間全体では、低温走査トンネル顕微鏡に基づく探針増強ラマン分光および超短パルスレーザーと組み合わせたナノスケールコヒーレントフォノン分光を達成している。2023年度に新しく構築した超高速・超広帯域探針増強近接場顕微分光は、フォノンを含む原子層物質の様々な自由度(素励起)、それらのカップリング、さらにダイナミクスをナノ空間で直接観察することを可能にする。
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