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2023 年度 実施状況報告書

シナプス分化因子と間葉系幹細胞によるALS神経変性の抑制メカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K24690
研究機関地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)

研究代表者

西宗 裕史  地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (40870043)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2025-03-31
キーワード筋萎縮性側索硬化症 / 神経筋接合部 / ラミニン / アクティブゾーン / 運動神経 / 幹細胞
研究実績の概要

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経細胞が選択的に変性し、運動機能が損なわれ、患者が呼吸不全に陥る疾患であるが、その病因・機序は未解明である。ALS患者の組織やALSモデルSOD1G93Aマウスの組織では、運動神経細胞体の変性前に神経筋接合部が変性し脱神経症状を示すことから、ALSは逆行性神経障害と考えられている。しかし、ALS神経筋接合部の脱神経機序は未解明である。申請者は運動神経細胞のシナプス伝達に重要なシナプス小胞放出部位を形成する分子機序を発見した。この機序は、筋細胞より分泌されたシナプス分化因子(ラミニンβ2)が特異的受容体(電位依存性カルシウムチャネル)に結合し、この受容体を運動神経終末に固定する。さらに、この受容体の細胞質側にシナプス小胞放出部位(アクティブゾーン)に特異的な蛋白質(バスーンやエルクスなど)が結合し神経筋接合部のシナプス伝達に重要な構造を形成する機序である。また、申請書はALS神経筋接合部の脱神経機序にミトコンドリアの変性が関与すること、ミトコンドリアなどの細胞内エネルギー代謝を活性化するオキサロ酢酸を投与することでALSモデルSOD1G93Aマウスの症状を改善できること、ALSモデルSOD1G93Aマウスの運動による介入研究により神経筋接合部の脱神経を抑制出来る事を報告してきた。本研究計画の目的は、先述のシナプス伝達に重要な構造を形成する分子機序に基づき、ALS神経筋接合部の脱神経機序の解明と、ヒト間葉系幹細胞がALSモデルマウスの症状を緩和する機序の解明にある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度においては、間葉系幹細胞がラミニンβ2分泌を上昇する機序解析のため、RNA-seqによる網羅的発現遺伝子解析を完了した。その網羅的発現遺伝子データに対しIngenuity Pathway Analysisによるバイオインフォマティクス解析を行い候補となる機序と遺伝子を同定した。この候補遺伝子を間葉系幹細胞に導入することでラミニンβ2分泌が上昇するか確認する実験を行っている。また、間葉系幹細胞がラミニンβ2分泌を上昇する培養刺激条件を用いると、培養筋細胞でもラミニンβ2分泌が上昇する事を見出した。この結果は、本研究の機序解析で明らかになる分子メカニズムがALS筋細胞のラミニンβ2発現分泌を回復させ得る可能性を示唆している。

今後の研究の推進方策

間葉系幹細胞のRNA-seq発現遺伝子解析結果から判明した候補遺伝子とその機序の解析を進める。培養間葉系幹細胞と培養筋細胞を用いてラミニンβ2分泌が上昇する機序の解析を進める。

次年度使用額が生じた理由

JREC-IN Portalや所属研究所ホームページ人材募集欄で公募したが、プロジェクトに適任な応募者がなく研究員の採用に時間がかかった。2021年度にポスドク1名、技術員1名、2022年度に技術員2名を採用したが、ポスドクは採用1ヶ月後に自己都合により退職した。この様に採用が遅れた人件費を次年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] University of Kansas Medical Center(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Kansas Medical Center
  • [雑誌論文] Neuronal Plasticity and Age-Related Functional Decline in the Motor Cortex2023

    • 著者名/発表者名
      Inoue Ritsuko、Nishimune Hiroshi
    • 雑誌名

      Cells

      巻: 12 ページ: 2142~2142

    • DOI

      10.3390/cells12172142

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症の治療を目指したヒト間葉系幹細胞の利用2023

    • 著者名/発表者名
      西宗裕史
    • 学会等名
      山口大学医学部、メディバイオ事業研究会 第28回講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療を目指した神経筋接合部の研究2023

    • 著者名/発表者名
      西宗裕史
    • 学会等名
      国立長寿医療研究センターセミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] Super-resolution imaging of synaptic proteins of neuromuscular junctions in adults and aged mice2023

    • 著者名/発表者名
      Naoko H. Tomioka, Yomna Badawi, Kenji Takikawa, Hiroshi Nishimune
    • 学会等名
      International Association of Gerontology & Geriatrics-Asia Oceania Regional Congress2023
    • 国際学会
  • [学会発表] Expression mechanism analysis of synapse-organizers essential for maintaining motor function and neuromuscular junctions2023

    • 著者名/発表者名
      Tomoyuki Nakano, Kotaro Takeno, Yomna Badawi, Hiroshi Nishimune
    • 学会等名
      International Association of Gerontology & Geriatrics-Asia Oceania Regional Congress2023
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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