研究課題/領域番号 |
19KK0005
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研究機関 | 沖縄県立芸術大学 |
研究代表者 |
柳 悦州 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 名誉教授 (70200532)
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研究分担者 |
新田 摂子 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 講師 (00835473)
平田 美奈子 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (80813170)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 沖縄 / 染織 / 在外コレクション / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、在欧沖縄染織品の基礎的調査を行い、ヨーロッパにおける沖縄染織コレクションの形成過程と日本の染織品との美術的価値観の違いを明らかにすることである。2019年度当初は、ドイツのハンブルクとクレッフェルド染織博物館の調査を予定していたが、事前交渉により新しい資料の情報がもたらされたオランダのロッテルダム世界博物館とクレッフェルド染織博物館を調査対象とした。2019年10月にドイツのクレッフェルド染織博物館、続けてオランダのロッテルダム世界博物館で事前調査を行った。翌2020年2月にロッテルダムの本調査を行った。 ドイツのクレッフェルドは、先行研究でも沖縄染織品の所在が明らかになっているが、オランダのロッテルダムは新規の調査地である。ロッテルダムでは、期待していた以上の資料点数を新規に確認することができた。ロッテルダムの調査は、紅型着物など調査に時間を要する資料と共に、新たな資料も多く、2020年2月の本調査で全てを終了することができなかった。そのため、2020年度も引き続きロッテルダムの調査を行う。また、ドイツのクレッフェルドは事前調査のみで、本調査は未着手であるため、2020年度以降に本調査を行う。 コレクションの形成に関しては、ロッテルダムにおいて沖縄染織品に関する文献調査を行った。その結果、現地研究者の協力により、沖縄コレクションを売買した美術商に関する文献を入手することができ、研究が大きく進展した。これまで、沖縄の染織品に関与した美術商に関しては、不明な点が多かったが、新資料の発見により、より詳細に美術商の蒐集目的や背景について明らかになってきたといえる。 沖縄染織品の日本本土への受容については、特に昭和初期における沖縄染織品の受容について文献調査を行った。その結果、まだ不十分ではあるものの、沖縄染織品の移動について資料を蓄積することが出来た
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画には、2019年度は1回の事前調査が予定されていたが、実際には事前調査に加えて、翌2月にも本調査を実施することが出来た。本調査が未着手のドイツのクレッフェルド染織博物館については、2020年以降本調査を行う。本調査が終了できなかったロッテルダム世界博物館は、当初沖縄染織品と博物館のデータベースに登録されている資料の調査を行っていた。しかし、同じ美術商蒐集の日本本土の染織品も合わせて検討したところ、博物館の登録にはない沖縄の染織品を発見することができた。そのため、最終的に調査対象の点数が増加した。ロッテルダムの資料は、あと1回の調査で終了出来る見込みである。 また、海外の研究協力者と連携して2020年度の事前調整も平行して行い、2020年6月にオランダのライデン国立民族学博物館、アムステルダムの人類学博物館、アムステルダムの国立民族学博物館の事前調査を2020年6月に予定していた。しかしながら、この調査は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により延期とした。 終了後のデータベースへの入力作業は、年度内に終了することができた。データベースへ入力した調査結果は、全ての調査が終了後に、各博物館へ提供する。日本本土の沖縄染織品コレクションデータベースは、引き続きデータを収集し完成させる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、1回の事前調査と1回の本調査を予定していた。しかし、6月のオランダのライデン国立民族学博物館、アムステルダムの人類学博物館、アムステルダムの国立民族学博物館での事前調査が新型コロナウイルス蔓延のため延期となり、具体的な日程は現在の所未定である。今後の事前調査及び本調査については、新型コロナウイルスの影響を注視し、調整を行う。具体的には、後期以降に事前調査を実施することを検討している。 また、沖縄染織品のコレクションの形成について、引き続き調査を行う。特に、沖縄染織品をヨーロッパへ売買した美術商について、文献等の関連資料の蒐集に努める。この美術商はオランダ出身であるため、ロッテルダム世界博物館やそれ以外の博物館にも、まだ関連資料が眠っている可能性がある。ヨーロッパの各博物館が通常開館に戻り次第、沖縄染織品の美術商に関する情報蒐集を行う。日本本土への沖縄染織品の受容に関しては、前年度検討した博物館・美術館以外にも対象を広げ、引き続き資料収集及び検討を行う。
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