研究課題/領域番号 |
19KK0005
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研究機関 | 沖縄県立芸術大学 |
研究代表者 |
柳 悦州 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 名誉教授 (70200532)
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研究分担者 |
新田 摂子 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 講師 (00835473)
平田 美奈子 沖縄県立芸術大学, 付置研究所, 研究員 (80813170)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 沖縄 / 染織 / 在外コレクション / ヨーロッパ |
研究実績の概要 |
本研究は①調査、②データーベース、③コレクションの形成の3つの視点から進められており、以下の研究実績が得られた。 ①調査:2020年は新型コロナウイルスの影響により、沖縄県外への移動が制限されたため、予定されていた2回のヨーロッパ調査を断念した。そのため、沖縄県立博物館所蔵の関連資料の調査を行った。 ②データーベース:海外、日本本土、沖縄の各紅型裂コレクションの統合データベースを作成した。3者の資料を比較検討した結果、同一と思われる資料を複数発見することができた。つまり、元々はひとつの紅型裂が、断裁されて、ヨーロッパや日本本土、沖縄に分散して所蔵されている可能性があることがわかった。これは今後、所蔵館ごとの関連性を分析する際に大いに有効な証拠となりうる。 ③コレクションの形成:昭和初期における日本本土への沖縄染織品の受容について文献を蒐集し、分析を行った。その結果、従来知られていた鎌倉芳太郎による沖縄染織品の「発見」以降、いくつかの沖縄染織品に関する展示会が日本本土で開催されていたことがわかった。つまり、鎌倉芳太郎や民藝協会関係者以外の日本本土のコレクターや美術商も、沖縄染織品コレクションの形成に関わっており、これらのコレクターや美術商によって、多くの沖縄染織品が戦前期に日本本土へ移動された事を明らかにした。 総括:海外における調査やコレクションの形成については、新型コロナウイルスの影響により研究が進展していない。しかしながら、データベースの作成と分析によって、新たな知見を得ることが出来た。また、コレクションの形成については、沖縄から日本本土への移動に焦点をあて分析した。その結果、特に戦前期の日本本土における沖縄染織品コレクションの成立について、研究が進展した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2020年度の研究の進捗は、当初の計画よりも遅れている。その理由として、2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、海外調査が出来なかった事が挙げられる。そのため、海外における沖縄染織品のコレクションの形成についての新規のデータを得ることが出来なかった。 しかしながら、2020年度は、海外調査の代わりに、日本本土の沖縄染織品コレクションについての基礎的データベースの作成や文献調査を進めた。そのため、研究全体としては、海外調査の進捗は遅れているものの、日本国内のコレクションの成立に関しては、研究の進展がみられた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究計画 ①調査:2021年度も、新型コロナウイルスの状況をみながら、海外調査の可能性を探る。さらに沖縄県内のコレクションの調査を行う予定である。ただし、当該資料の所蔵館は当面の間外部者の資料閲覧を許可していない。そのため、県内調査についても、新型コロナウイルスの状況次第可能な限り行う。 ②データーベース:昨年度までは紅型資料のデータベースを中心に作成した。2021年度は織物資料の統合データベースも作成する。織物資料においても、複数のコレクションを横断的に分析することで、紅型裂と類似の結果が得られるのかについて検討する。県内調査が可能となった場合は、新規データをデータベースに追加する。 ③コレクションの形成:昨年度は昭和初期の日本本土における沖縄染織品コレクションの形成について分析を行った。2021年度は、ヨーロッパの美術商が沖縄染織品を購入した戦後1950-60年代に焦点をあて、分析を行う。 総括:今年度前半は海外調査の進展はあまり期待出来ない見込みである。ただし、海外への渡航が可能になったら、これまで計画されていた美術館への調査を複数回行い、進捗状況の遅れを解消する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究費の費目のほとんどは海外旅費である。しかし、2020年度は、新型コロナウイルスの影響により、海外渡航が制限されたため、海外旅費が執行出来なかった。 2021年度は、2020年分の助成金と合わせて、複数回、もしくは滞在期間を延ばした海外調査を行い、予算を執行する予定である。
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