研究課題/領域番号 |
19KK0006
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
岡田 光弘 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (30224025)
|
研究分担者 |
岡本 賢吾 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (00224072)
五十嵐 涼介 東京都立大学, 人文科学研究科, 日本学術振興会特別研究員(PD) (40853205)
細川 雄一郎 群馬県立女子大学, 文学部, 講師 (60853190)
伊藤 遼 早稲田大学, 文学学術院, 准教授 (70853422)
峯島 宏次 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (80725739)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
|
キーワード | 論理の哲学 / 論理的不一致 / 論理学 / 不一致の哲学 / 論理哲学 / 数学の哲学 / 不一致の理解と克服 / 証明論的意味論 |
研究実績の概要 |
矛盾概念、否定概念は論理的不一致と密接に関係していると考えられる。この観点から、矛盾・否定と論理的不一致との関係の解明に向けて、多角的に検討した。論証や証明論的意味論や線形論理の観点から、論理定項としての「矛盾」を捉え直し、不一致の研究を進めた。また、非言語的否定の研究を「論理的不一致」研究の観点から行った。図形や画像やイラストが否定を表現することが可能かを多面的に検討し、記号表現や特別の慣習を介さずに否定を表す視覚的表現の特性を分析した。否定を表す画像を識別する能力について、人間と近年の人工知能研究における機械学習(深層学習)モデルの比較を行った。また、現代論理学史上の代表的論争を「論理における不一致」という我々の研究課題の観点から見直す作業を進めた。例えば、古典論理と直観主義論理との論理学史上の論争を現代の「論理的不一致」の議論の観点から論点整理した。また、「概念の使用に関する意見の不一致」に定めて、過去の哲学者がテクストにおいて使用する概念の解釈の対立を、推論主義と呼ばれる立場を手がかりに説明するという試みを提示した。反事実的条の下での判断の不一致を、人々が反事実的な時間発展の可能性をシミュレーションするモデル(分岐時間モデル)を形成する際に人々が利用し基盤とする、「関連する情報資源および情報プロセッシング」の不一致、によって説明することを試みた。情報提示法が仕方と意思決定・論理判断の変化や相違にどのようにかかわるかについて準備研究を行った。「論理における不一致」についての国際集会をUNESCO世界論理デー(World Logic Day)の正規登録行事として2021年1月に開催した。ここで、本研究グループおよびその協力者たちの中間成果の総合報告を行い今後の研究について議論した。また、関連会議などの機会においても「不一致」研究の重要性を論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各分担者の担当分野研究が順調に進んでおり、また全体的な成果の集約や共有も一定の進展を見た。特に成果の共有、国際的発信のために,UNESCO世界論理デーの参加行事をして行った。フランス側連携チームの協力のもとに開催した。フランス側との間で今後の協力についても打ち合せが進んだ。 次年度以降に進める、本研究の研究成果のまとめについても立案が進んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
共同研究成果のとりまとめに向けた研究を進める。成果の公表の仕方を多面的に検討する。新型ウイルス世界的感染のために海外の連協研究者・協力者たちと対面で学術交流する機会が限られてきたが、次年度からはそれが可能となると考えられるので、対面交流にも力を入れたい。「不一致の理解と克服」というより広い枠組みの観点から本研究プロジェクトの成果を位置付けることも目指す。そのための準備を国際連携の形で始める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度中、新型ウイルス感染問題により海外渡航が難しい状況のため、本課題研究にかかわる海外渡航予定のうち、遠隔形式で進めることのできる共同研究を進めることとし、渡航を必要とする海外研究協力の一部予定は次年度以降に進めることとしている。そのために次年度使用額が生じた
|