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2019 年度 実施状況報告書

在米日本漢籍の蔵書学―今関天彭蒐集書を事例として―

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0008
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

住吉 朋彦  慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (80327668)

研究分担者 堀川 貴司  慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 教授 (20229230)
矢島 明希子  慶應義塾大学, 斯道文庫(三田), 助教 (20803373)
陳 捷  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40318580)
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2023-03-31
キーワード日本漢籍 / 蔵書学 / 今関天彭 / 書誌学 / 考証学 / 三井文庫 / 日本漢詩 / 文献学
研究実績の概要

本年度は2回に渉り、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館での原本書誌調査を実施する計画を立て、令和元年10月より準備を開始した。同校東アジア図書館及び、共同研究者の東アジア言語文化学科ジョナサン・ツウィッカー氏と連絡を取り、まず1週間程度の予備調査と、当地での研究交流を行うための予備会合を行う段取りとした。令和2年1月4日から13日まで、研究代表者が単独で渡米し、すぐに東アジア図書館の専門司書マルラ俊江氏と、年度内のメンバー全員による再訪、本格調査について問題点を洗い出した。さらに日を改め同館館長の周欣平氏ほか図書館のスタッフと会合し、今後3年半の計画説明と、今年度本格調査の段取りを行った。その他の時間を活用し、東アジア図書館での調査を実施、漢籍集部清及び民国別集類を調査、24部118点を著録して、サンプル撮影を行い、1部1点を除いて全て今関天彭氏の旧蔵と確認した。東アジア言語文化学科との研究交流計画準備の会合については、12日の実施を予定していたが、先方の要請により7日に変更、会合の結果、次回調査時に交流実施との同意を得た。この予備調査出張を経て、令和2年3月8日から15日に、メンバー4名による原本書誌調査を行い、同10日に研究交流集会を実施する予定を組み、万全を期していたところ、3月初旬、米国西海岸における新型コロナウィルス感染者の確認が相次ぎ、4日にカリフォルニア州に非常事態宣言が発布され、調査の実施を断念した。
この間、これまでに調査撮影された研究資料を電子化して蓄積、共同研究者間で共有する目的から、インターネット向けデータサーバを購入して慶應義塾大学内に設置、資料公開の準備を整えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の初年度は10月からの開始であり、半年間の研究期間内に2度の調査出張を計画したが、その後半期に当たる令和2年当初から、主要な研究の実行予定地である、中国、米国、日本の各地に於いて、新型コロナウィルス感染症の流行が起こり、調査地への移動と、現地での活動ができなくなったため、2度目の調査計画を遂行することが叶わなかった。この情況は、原本書誌調査を研究の要諦とする本計画にとって、大きな足枷となった。
一方、比較的小規模ながら、1度目の米国出張を行って、現地共同研究者とのコミュニケーションをとり、実際の調査にも着手できたことは、厳しい条件の下では貴重な成果であったと考えられる。また研究情報共有、公開の準備活動に資源を割けたことも、一定の成果を挙げたと評価できるものの、やはりメンバー全員での調査を実施できなかったことは大きく、スケジュール上も、挽回の時間が残されていなかったことは遺憾であり、全体としては若干の遅れと評価しなければならない。

今後の研究の推進方策

令和2年度当初も、米国、中国、日本の各地に於ける、出張調査の難しい情況が続いていることから、その本格的な着手については、第2年度の後半以降に先送りとせざるを得ない。そこで、研究資源投下の順序を改め、まず原本に基づく既得研究資料の共有と公開準備に力を注ぐ。また関係諸文献の蒐集と、文献資料に基づく外部からの蔵書検討に視点を絞り、共同研究活動を展開させて行く。
具体的には、本研究で継承する、研究代表者の著録したカリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館ほか米国7図書館所藏の、今関天彭氏旧蔵書の書誌約1,000点を電子化し、同時に取得してきた約6,500カットのサンプル写真画像と結び付けた、簡易なリレーショナルデータベースを構築、インターネットに向けサーバ上に設置し、海外を含む共同研究者とのデータ共有の初歩とする。また各員文献の解読を行って、蔵書研究上の学術史、政治外交史上の問題点を掬い出し、各国を結んだウェブ研討会を行って、調査及び目録解題編集上、特に表出すべき項目を、予め析出する。

次年度使用額が生じた理由

令和2年3月8日から15日の間に、研究代表・分担者全員の計4名で米国に渡航し、カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館に於いて、のべ20日間の調査研究を行い、期間中の3月10日に同校東アジア言語文化学科と共同で、漢籍書誌学・蔵書学ワークショップを開催する予定であったが、同年2月末以来の、米国カリフォルニア州に於ける新型コロナウィルス感染症の流行及び、それに伴う3月4日のカリフォルニア州非常事態宣言の発布に鑑み、共同研究者と、バークレー校側の参加者、図書館員、図書館利用者の健康を脅かす恐れが生じたため、3月5日にバークレー側と協議の上、計画を全て中止した。
2020年度には、同規模、同内容の調査研究事業を計画するが、年度前半は同様に実施が難しいため、後半に実施することとし、その一部は2021年度以降に予定していた、関係資料のリレーショナルデータベースの開発に振り向けるように計画を修正する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [国際共同研究] カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館/カリフォルニア大学バークレー校東アジア言語文化学科(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館/カリフォルニア大学バークレー校東アジア言語文化学科
  • [雑誌論文] 慶應義塾大学附属研究所斯道文庫作成 陽明文庫蔵漢籍等複製目録初編2020

    • 著者名/発表者名
      住吉朋彦(主編), 阿部隆一, 李裕利, 大沼晴暉, 齋藤慎一郎, 髙橋智, 高橋悠介, 堀川貴司, 矢島明希子, 山城喜憲
    • 雑誌名

      斯道文庫論集

      巻: 54 ページ: 189-230

    • オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 松崎慊堂校刊影宋本『爾雅』について2020

    • 著者名/発表者名
      矢島明希子
    • 雑誌名

      斯道文庫論集

      巻: 54 ページ: 83-119

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 文人の書簡─交遊・教育・議論─2020

    • 著者名/発表者名
      堀川貴司
    • 雑誌名

      斯文

      巻: 135 ページ: 3-19

  • [雑誌論文] 古活字版日本漢籍の位相2019

    • 著者名/発表者名
      住吉朋彦
    • 雑誌名

      藝文研究

      巻: 117 ページ: 183-197

  • [学会発表] 論語句解の伝播について―朝鮮渡り唐本管見―2020

    • 著者名/発表者名
      住吉朋彦
    • 学会等名
      立命館大学白川静記念東洋文字文化研究所2019年度研究成果報告会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 五山文学2020

    • 著者名/発表者名
      堀川貴司
    • 学会等名
      釜山大学校漢文学科BK21PLUS東アジア伝統知識と翻訳事業団第14回海外学者招聘セミナー
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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