研究課題/領域番号 |
19KK0011
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
塩原 朝子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (30313274)
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研究分担者 |
木本 幸憲 兵庫県立大学, 環境人間学部, 講師 (40828688)
内海 敦子 明星大学, 人文学部, 教授 (70431880)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 言語学 / コーパス言語学 / オーストロネシア諸語 / アルタ語 / マレー語 / スンバワ語 |
研究実績の概要 |
(1) インドネシアとフィリピンの少数言語コーパスの構築:今年度もインドネシアのロテ島で話されるロレ語やスンバワ島で話されるスンバワ語のコーパス構築を続けている。フィリピンの少数言語についても、危機言語であるアルタ語のコーパス構築を行っている。これらのコーパスを公開するために、音声付き文字情報として各言語を公開するウェブサイトの開発も進めている。スンバワ語コーパスのアノテーションが完成しドイツのBenberg大学が公開しているMulti-CASTアーカイブから公開した。 (2) コーパスに基づく理論的研究:昨年度から引き続き、オーストラリア国立大学との共同研究である社会認知に関するコーパス(SCOPIC)の構築とSCOPICからのデータに基づく理論的研究を行っている。物語コーパス中の文における命題の埋め込みがどのように行われるかについての対照研究もさらに進めている。その成果は国際言語類型論学会で発表した。この研究ではオーストロネシア諸語5つを含む14のコーパスに基づいて行っている。命題の埋め込み現象を「思考」「発話」「知識」などの9つの意味分野に分類し、それぞれの言語でどのような文法戦略が優勢なのかを調べた。その結果、14の言語は(i)補文が優勢な言語、(ii)副詞節が優勢な言語、(iii)二つの節の単純な並置(parataxis)が優勢な言語、の三つに分類できることがわかった。オーストロネシア諸語の中では、イロカノ語とマレーシアのマレー語は(i)に、アルタ語と口語インドネシア語は(iii)に属することがわかった。これは、系統が異なる言語でも命題の埋め込みパターンが異なることを明らかにしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標であったオーストロネシアの少数言語・危機言語のコーパス構築が予定通り進展していること。コーパスデータに基づく理論的研究も順調に進展していること。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である本年は、オーストロネシア諸語のコーパスを完成させるとともに、コーパスに基づく理論的研究の成果を論文の形にまとめ学術雑誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染状況が収束せず予定通りの海外出張ができなかったため。
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