研究課題/領域番号 |
19KK0014
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
菊地 重仁 青山学院大学, 文学部, 准教授 (80712562)
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研究分担者 |
加藤 磨珠枝 立教大学, 文学部, 教授 (40422521)
加納 修 名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (90376517)
津田 拓郎 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70568469)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | フランク王国 / 法文化 |
研究実績の概要 |
研究計画の初年度にあたる本年度は、基本的にメンバー各員が法・規範テクストの分析及びそれらが収録された集合写本の分析など、個々人の研究課題に取り組む形で研究を進めた。またオンラインツールを用いた連絡体制を整備し、スムーズな日常的な連絡や情報交換を可能とした。研究成果の一端として、菊地は国王文書、津田はいわゆる「カピトゥラリア」を素材に、カロリング朝君主の周辺における法文化の一面をコミュニケーションの観点から明らかにしようとする論考を英語で公表した。加藤は教会法の規定を踏まえつつ中世初期ローマ教会における女性の職務を考察する論考を公刊した。 研究代表者である菊地は研究開始当初にドイツ・ベルリンに滞在していた状況を活かし、ドイツ側研究協力者の代表であるシュテファン・エスダース教授(ベルリン自由大学)と協議を重ね、研究プロジェクトの内容及び全体計画を調整した。また同じく研究協力者のカール・ウーブル教授(ケルン大学)、シュテフェン・パッツォルト教授(テュービンゲン大学)、ティナ・バウデン博士(ベルリン自由大学)ともプロジェクトについて協議した(研究報告を伴う研究会も予定されていたが、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により中止となった)。ドイツ滞在中には研究グループ外の研究者たちとも初期中世ヨーロッパ世界の法文化を考察する際に有効な視角と、それを可能にする史料について議論を重ねることができた。そのうちの数名とは、今後も継続的に研究協力者として共同研究に関与してもらうべくコンタクトを維持している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者・分担者とも史料刊本や写本ファクシミリ、及び研究文献を用いて個別研究を進めることはできた。しかしこの国際共同研究の要となるドイツなどヨーロッパ各地の図書館・文書館での史料調査、ドイツ側研究協力者との研究協議及び研究報告会のために春季休暇中に予定されていた出張が、同時期の新型コロナウイルス感染症の流行の影響により全て中止となったため、研究計画に少々の遅れが生じていることは否めない。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画の2年目は、1年を通じて研究を遂行する最初の年度になる。プロジェクトメンバー各員が入手可能な写本ファクシミリ、刊行史料及び研究文献を用いて個別に研究を進めることを基調とする。その間もオンラインツールを用いた連絡・情報交換を行いつつ、年度当初に一度、その後は半期に一度を目安として研究会を開催する。社会情勢次第では、研究会はオンラインで開催することもありうる。史資料調査及び研究討議のための海外出張は、国内外の新型コロナウイルス感染症に関する情勢を注視つつ実行可能性を見極める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画の核をなすのはヨーロッパに滞在しての史料調査及び現地研究者との研究討論である。初年度の研究期間は秋に始まる半年間のみだったため、長期渡航が可能な機会は春季休暇中に限られていた。しかしその春季休暇を通じ、新型コロナウイルス感染症の流行の影響により渡航が不可能となっていたため、この時期に予定されていた出張が全て延期することを余儀なくされた。延期された史料調査・研究討論は、社会状況を鑑みつつ次年度以降の長期休暇期間に分散して実施する予定である。
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