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2021 年度 実施状況報告書

「循環」を問い直す―物質・文化・環境を繋ぐグローバルヒストリー

研究課題

研究課題/領域番号 19KK0015
研究機関法政大学

研究代表者

杉浦 未樹  法政大学, 経済学部, 教授 (30438783)

研究分担者 鈴木 英明  国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
小林 和夫  早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (00823189)
島田 竜登  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (80435106)
守川 知子  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (00431297)
松方 冬子  東京大学, 史料編纂所, 教授 (80251479)
飯島 真里子  上智大学, 外国語学部, 教授 (10453614) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-10-07 – 2025-03-31
キーワードグローバルヒストリ― / 循環 / マテリアリティ / 環境史 / 文化 / 領事報告 / 世界史 / アフリカ
研究実績の概要

イギリスのウォーリック大学のグローバルヒストリ―・カルチャー・センターに所属する研究者と日本の研究者との間のグローバルヒストリ―を推進する本研究は、本年度も引き続き、オンラインミーティングを中心とした交流を行った。
史料討論班A(17~19世紀を対象)は、グローバルヒストリ―における区分や分類を再検討する課題を具現化した第一回全体会議を2021年5月24日に行った。11名の参加者による発表に対し、積極的に意見交換がなされ、次回は成果出版に向けた取り組みをすることになった。
史料討論班B(20世紀)は、ひきつづき戦間期の日本のアフリカにむけられた領事報告に関する共著執筆にむけて月例会議をオンラインで続け、それぞれの担当章の構成を整え、執筆要綱を討論する段階にきた。この本は領事報告をはじめとして、戦間期に日本人がアフリカについて残した記録を総合的に分析するものとなる。環境・文化・物質性の三つに注目し、いままでの研究よりもはるかに踏み込んで、史料にみられる記述を分析していく。戦間期のアフリカに関する記録としては、欧米のものより詳しい部分があり、この史料の貴重さを英語で示すことは重要なことであると見解が一致している。しかし単純に史料紹介するのではなく、分析を通じて、日本人がどのように欧米のアフリカ政策をみており、その視点をどのように解釈し、共通の視点がつくられていったのかを明らかにすることを目標としている。
その他には、研究分担者の松方冬子氏が3月にオンラインで研究発表を行い、次年度の5月にウォーリックを訪問することになった。ウォーリック大学からEUIへ出向中のリエロ氏が主宰したグローバルヒストリ―の新しい試みをめざす会議シリーズ(Carletti and the World, Nodes of Early Modern Capitalism)に研究代表者が参加し,発表討論を行ったほか、研究分担者が積極的に国際会議などでの発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画は対面交流を中心としたものであったが、昨年度からオンライン中心へ計画を立て直して進行している。史料討論班Aでは、オンラインでほぼ全員が集まり、それぞれが計画する構想の発表に意見交換を行った。本の骨格が決まったが、年度後半にミーティングを設定することができず、来年度にもちこしとなり、少し遅れている。史料討論班Bのほうもオンラインで打ち合わせを重ね、基本となる史料を特定して翻訳作業をすすめ、先行研究の批評を行い共著本の視角や意義を決定した。年度末には章立てを具体的に検討するまでにいたった。
研究分担者が個別にウォーリック大学の研究集会で発表する計画は、延長されていた初回発表が3月に行われ、さらに新年度5月に訪問が実現した。研究分担者のが後進の育成として計画していたサマースクールは今年度開催できるかを見守っていたが、年度内は無理となった。10月末から次年度再開にむけて四機関の関係者と打ち合わせを行い、来年度夏の開催が決まった。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進は、計画の折り返し地点にきたという認識から、執筆をすすめることに注力する。また、国際学会などで討議し、成果を発信していくことも強化する。来年度夏を中心に、一昨年度、昨年度と延期されていた世界経済史会議などの学会が開催されるので、セッションやパネルを開催するほか、その前後にイギリスに1,2日に集中して共著者と会い、作業をすすめ、執筆を本格化させていく。史料班Bについては、イギリス側の参加者であるロバート・フレッチャー氏の長期招聘も申請し、日本側執筆者とより密に執筆を進める環境を整えていく。
また、来年度夏にはサマースクールも開催する。そのために5月、7月に参加学生との準備集会を開く。サマースクール期間に研究者たちと「グローバルな資本主義の形成と土地との関わり」をテーマに研究交流をするほか、次年度開催についても討議しあう。

次年度使用額が生じた理由

年度当初は、サマースクールなどを今年度内に開催することを予定し、またもう一人の研究分担者を長期派遣することを検討していたが、それらが実施されなかったために予定額に差額が生じた。これらの計画は次年度に持ち越す。

  • 研究成果

    (32件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 7件、 招待講演 6件) 図書 (4件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (2件)

  • [国際共同研究] Warwick University(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      Warwick University
  • [国際共同研究] Univerisity of Missouri(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Univerisity of Missouri
  • [国際共同研究] University of CaFoscari/EUI(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      University of CaFoscari/EUI
  • [国際共同研究] EHESS(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      EHESS
  • [雑誌論文] 苦力帽―1840年~1940年の中国人強制移住労働者の帽子をめぐる考察2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦未樹
    • 雑誌名

      経済志林

      巻: 89 ページ: 77-106

  • [雑誌論文] Port cities and Inland Distribution. Merchants’ functional divisions between early modern Amsterdam and its hinterlands2022

    • 著者名/発表者名
      Miki Sugiura
    • 雑誌名

      Lee, Robert, and Paul McNamara, Port-Cities and their Hinterlands; Routlege Explorations in Economic History

      巻: 7 ページ: 142-165

    • DOI

      10.4324/9780429202254-6.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 戦間期アフリカにおける日本製シャツの位置付け2022

    • 著者名/発表者名
      杉浦未樹
    • 雑誌名

      CIRAS Discussion Paper No. 105:

      巻: 105 ページ: 6-14

  • [雑誌論文] Japanese Cotton Shirts in Interwar East Africa2022

    • 著者名/発表者名
      Miki Sugiura
    • 雑誌名

      Emi Goto and Chika Obiya eds. Created and Contested . Norms, Traditions and Values in Contemporary Asian Fashion;MEIS-NIHU Series no 5. Sudia Culturae Islamicae No. 115

      巻: 115 ページ: 150-170

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Tecendo redes imperiais: uma dimensao asiatica do comercio britanico de escravos no Atlantico no seculo XVIII2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Kobayash
    • 雑誌名

      Afro-Asia

      巻: 63 ページ: 11-39

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 隔離される巡礼者たち――シーア派聖地巡礼と検疫制度の近代――2021

    • 著者名/発表者名
      守川知子
    • 雑誌名

      歴史学研究

      巻: 1011 ページ: 26

  • [雑誌論文] 聖都アルダビールとサファヴィー朝下のサフィー廟2021

    • 著者名/発表者名
      守川知子
    • 雑誌名

      アジア・アフリカ言語文化研究 別冊

      巻: 1 ページ: 213-230

  • [雑誌論文] 根本利通 著『スワヒリ世界をつくった「海の市民たち」』(昭和堂、2020年)2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 21 ページ: 48-51

  • [雑誌論文] 玉木俊明評Hideaki Suzuki, Slave Trade Profiteers in the Western Indian Ocean: Suppression and Resistance in the Nineteenth Century への異議申し立て2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 雑誌名

      地域研究

      巻: 21 ページ: 52-56

  • [雑誌論文] メリカニがジャパニになったころ――1935年、アフリカ大陸東部のメイド・イン・ジャパン2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 雑誌名

      季刊民族学

      巻: 176 ページ: 66-73

  • [雑誌論文] Revisiting Corruption Theory on the Indian Ocean World: A Case Study of Slave Trade in the 19th Century Western Indian Ocean2021

    • 著者名/発表者名
      Hideaki Suzuki
    • 雑誌名

      Shigeru Akita, Hong Liu and Shiro Momoki (eds.) Changing Dynamics and Mechanisms of Maritime Asia in Comparative Perspectives (Palgrave Studies in Comparative Global History)

      巻: 5 ページ: 101-130

  • [学会発表] An Umbrella System: South Asia in the Early Modern Atlantic2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Kobayashi
    • 学会等名
      South Asia through a Global Lens
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The British Atlantic Slave Trade and Indian Cotton Textiles: An Umbrella Model2021

    • 著者名/発表者名
      Kazuo Kobayashi
    • 学会等名
      VIII EIHC; Imperios Coloniais da Era Moderna: rupturas e permanencias
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] An Armenian Merchant Family from New Julfa in Isfahan under the Safavid Empire: A Case Study of the Valijanian Family2021

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Morikawa
    • 学会等名
      65th International Conference of Eastern Studies
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Non-Muslim Minorities and a Shi’ite Empire: Armenians and Jews in Safavid Persia2021

    • 著者名/発表者名
      Tomoko Morikawa
    • 学会等名
      Sixth European Congress on World and Global History: Minorities, Cultures of Integration, and Patterns of Exclusion
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] インド洋海域世界のヒトの移動とアフリカ大陸東部のクマネズミ2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 学会等名
      生き物文化誌学会第82回例会
  • [学会発表] 魚眼的グローバルヒストリーの可能性ー鶴島報告へのコメントにかえてー2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 学会等名
      第12回海域ヨーロッパ研究会
  • [学会発表] Japanese Green Tea Terroir and the Shift in the Export Markets, c.1920-19602021

    • 著者名/発表者名
      Miki Sugiura
    • 学会等名
      The Sixth Biennial Conference of East Asian Environmental History
    • 国際学会
  • [学会発表] Carletti and Slavery in East Asia2021

    • 著者名/発表者名
      Miki Sugiura
    • 学会等名
      Workshop Series Carletti's World: An Early Modern Global Voyage
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Frontier Expansion and Property Formation in the Dutch Cape Colony, c. 1652-1810.2021

    • 著者名/発表者名
      Miki Sugiura
    • 学会等名
      International Workshop 'Nodes of Early Modern Capitalism' Department of History and Civilisation European University Institute
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 戦間期アフリカにおける日本製「シャツ」と「下着」―現地の装いと規範の視点から―2021

    • 著者名/発表者名
      杉浦未樹
    • 学会等名
      ワークショップ 装いと規範、京都大学東南アジア地域研究研究所
  • [図書] 都市からひもとく西アジア――歴史・社会・文化2021

    • 著者名/発表者名
      守川知子
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      勉誠出版
  • [図書] 奴隷貿易をこえてー西アフリカ・インド綿布・世界経済2021

    • 著者名/発表者名
      小林和夫
    • 総ページ数
      326
    • 出版者
      名古屋大学出版会
    • ISBN
      978-4-8158-1037-5
  • [図書] 吉沢誠一郎監修『論点・東洋史――アジア・アフリカへの問い158』「奴隷交易廃止とインド洋交易――奴隷交易廃止は何をもたらしたのか」2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
  • [図書] 上羽陽子・金谷美和編『躍動するインド世界の布』「アフリカを彩るインド産プリント布カンガ」「墓廟にかぶせる布――ダルガー・チャーダル――」、2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木英明
    • 総ページ数
      132
    • 出版者
      昭和堂
  • [備考] Problematizing Circulations

    • URL

      https://warwick.ac.uk/fac/arts/history/ghcc/research/jspscollaboration/

  • [学会・シンポジウム開催] Source Discussion: Terms in Circulation and Categories at Work, 1600-19302021

  • [学会・シンポジウム開催] Consular Report Meeting2021

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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