研究課題/領域番号 |
19KK0023
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 剛 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (90508912)
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研究分担者 |
鳥山 純子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (10773864)
大坪 玲子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 学術研究員 (20509286)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 人類学 / 中東 / ムスリム / アラブの春 / グローバル移動 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、まず、12月26日に神戸大学100年記念館において、国内研究者の間で研究会を開催した。齋藤は、国内研究者の研究課題の共通理解の深化を企図して、問題提起と今後の研究計画案を提出し、大坪、鳥山とその内容について検討を深めたほか、大坪、鳥山も各自の研究課題を推進する方針などについての報告を行った。 この研究会での議論を踏まえて、研究班員の海外出張・調査及び海外研究者との研究打ち合わせを年度末に計画した。しかし、2020年に入って新型コロナウィルスの感染の世界的な感染拡大を受けて当初の予定を変更して、鳥山の海外での研究成果発表・討議を除いて、次年度以降にそれらの計画の実施を延期するように計画を変更した。 このように、計画に変更は見られたものの、科研研究課題に関連する研究成果の発表については順調に進んでいる。たとえば、主だった論文や著書の成果として、大坪は「嗜好品からドラッグへ:イギリス・オランダのイエメン人とカート」と題した論考を『嗜好品文化研究』(第5号)誌上で発表しており、鳥山は『 立教大学ジェンダーフォーラム年報』(21号)誌上に「現代エジプトにおける高齢者介護―家族のダイナミクスに注目して」 と題した論考を発表している。研究代表者の齋藤は共著書『生き方としてのフィールドワーク』(中尾世治・杉下かおり編、東海大学出版部、2020年)を公刊した。 また、海外協力者のレオン・ビュスケンス(ライデン大学)、ムスタファー・アブダッッラー(ベルリン自由大学)とは、それぞれパリ(EHESS)とナント(ナント先端学術研究所)において鳥山を交えた研究報告と研究討論を進め、今後の研究計画についての協議を重ねている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度末に海外研究者との共同研究打合せおよび、齋藤、鳥山、大坪の海外調査の実施を予定していたが、新型コロナウィルス感染が急速に拡大していたこともあり、これらの実施予定を中止せざるを得ない状況となった。 だが、その一方で、国内研究者の間で研究会を開催し、研究代表者が問題の所在を明らかにすると共に、今後の研究内容などについて分担者である大坪、鳥山と話し合いを進めている。 また、海外協力者のレオン・ビュスケンス(ライデン大学)と社会科学高等研究院(EHESS)、ムスタファー・アブダッッラー(ベルリン自由大学)とナント先端学術研究所において鳥山を交えた研究報告と研究討論を行った上で、これまでの研究成果の報告と今後の研究計画についての協議を重ねている。 本研究課題が2019年10月に開始されたことを鑑みると、2019年度の研究成果発表については、国内研究者の成果発表は順調に進んでいる。その一方で海外研究者と開催する予定であった研究会合を新型コロナ・ウィルスの世界的な感染拡大に伴って見送らざるを得なくなった。現在までの進捗状況を「やや遅れている」と判断したのは、この後者の点を踏まえてのことである。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ・ウィルスの感染拡大の影響がいつまで続くのかまだ判断がつかない状況ではあるが、欧州においてはEU域内の渡航制限が解除されるなどの動きも出てきている。こうしたことを踏まえ、年度内に海外調査、あるいは海外研究者とのワークショップの開催に向けた準備は、引き続き進めていく。その上で、新型コロナ・ウィルスの感染拡大の第2波などが来ることも想定し、本年度はウェブ会議システムなどを用いていくことも検討している。少なくとも国内研究者とは夏期までに研究成果発表および意見交換の機会を複数回設け、日本側の研究者の共通理解の土台作りに努めていく。その際には、本研究課題と密接に関わる学術書の批判的検討をすることなども検討している。また、研究代表者の齋藤は、国内研究者、海外研究者全体での共通見解の土台作りに資するための研究成果発表を準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大のために、当初予定していた海外調査及び国際研究集会の開催予定を延期したため。2021年度にこれらの予定は延期して実施することを現在計画している。
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