研究課題/領域番号 |
19KK0026
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山内 太郎 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (70345049)
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研究分担者 |
林 耕次 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 研究員 (70469625)
中尾 世治 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (80800820)
彭 宇潔 静岡大学, 人文社会科学研究科, 講師 (70791218)
山口 亮太 椙山女学園大学, 人間関係学部, 研究員 (80783422)
園田 浩司 新潟大学, 人文社会科学系, 講師 (20795108)
清水 貴夫 京都精華大学, 国際文化学部, 准教授 (10636517)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | サニテーション / トイレ / 狩猟採集民 / 都市スラム / WASH(水、トイレ、衛生) / NGO / カメルーン / COVID-19 |
研究実績の概要 |
本研究の4年目である令和4年度は、新型コロナウイルス感染症パンデミックによる渡航制限が緩和されたため、現地フィールド調査を再開した。電子メールやインターネット電話、オンライン会合によってカウンターパート(首都、地方都市、農村で活動するNGO)と密に連絡を取り、2022年8月および2023年2月に各1ヶ月程度の現地調査を行った。
1.都市部:現地NGO Tam-Tam Mobileと協働し、小学校や地域のコミュニティで新型コロナウイルス感染症についての啓発、手洗い行動など、感染予防ワークショップを行った。2.地方都市:現地NGO mutcareと協働して東部州において地域住民の衛生改善やトイレ普及を推進するとともに、ピット式トイレの跡地を活用して果樹を栽培するパイロットファームの運営を継続して行った。3.狩猟採集民定住集落:現地NGO Okaniとの協働で、東部州の地方都市ロミエにおいて、定住した狩猟採集民(BAKA)を対象としたサニテーションに関する聞き取り調査と新型コロナウイルス感染症の予防ワークショップを行った。さらに、女性のサニテーション(月経衛生対処)について、聞き取りを行った。4.現地ワークショップおよびオンライン国際シンポジウム(ISSS2022)の開催:上記NGO(3団体)と個別の打ち合わせを兼ねた小規模なワークショップに加えて、Global WASHに関する国際シンポジウムを開催した(オンライン)。5.NGOと研究者の協働による学術論文の刊行:上記3つのNGOの活動についての報告書をもとにして、国際学術誌(Sanitation)の特集号"Co-creation of Water, Sanitation, and Hygiene in Local Communities with NGOs during the COVID-19 Pandemic: From Hunter-gatherers to Urban Dwellers in Cameroon"を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度は新型コロナウイルス感染症による海外渡航制限が緩和されたため、夏と冬の2回、海外フィールド調査を再開することができた。さらに、カウンターパートと協働して現地ワークショップおよびオンラインによる国際シンポジウム(ISSS2022)を開催できた。3つのNGOの活動報告書をもとにして、国際学術誌(Sanitation)の特集号を刊行した。 海外フィールド調査を再開し、現地ワークショップやオンライン国際シンポジウムの開催ならびに国際学術誌の特集号の刊行など、十分な研究成果を上げることができたものの、感染症パンデミックによって2年間、現地フィールドの調査活動が制限されたため、当初の予定にはまだ追いついていない。したがって、「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
再開された海外フィールド調査を一層充実させていくことに加えて、現地ワークショップ(都市、農村、狩猟採集社会)やオンライン国際シンポジウムを継続して実施する。来年度は最終年度であるため、「トイレを必要とする条件」についての理論構築を行い、成果出版にも取り組む。具体的には、英文書籍(あるいは学会誌特集号)を刊行する。さらに、昨年度に出版した現地NGOおよび地域住民を読者対象とする「Picture Book第2段」を現地カウンターパートと協働して制作、刊行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症による渡航制限が緩和され、現地フィールド調査を再開したものの、まだパンデミック前の状況には戻れていない。そのため、調査活動が制限され次年度使用が生じた。来年度は最終年度であるため、現地調査は最小限に止め、現地ワークショップによる地域住民へのフィードバックに注力するとともに、国際シンポジウムを開催する。これまでの実績に基づく成果発信(学会発表、論文投稿、出版、Picture Book制作等)にも積極的に使用していく。
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