研究課題/領域番号 |
19KK0029
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石川 知子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (20632392)
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研究分担者 |
西川 由紀子 同志社大学, グローバル・スタディーズ研究科, 教授 (70584936)
山形 英郎 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (80222363)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | 経済安全保障 / サイバーセキュリティ / ロシア・ウクライナ戦争 / データ保護 / サイバーをめぐる官民協働 / 対内直接投資規制 / ミャンマー人道危機 |
研究実績の概要 |
本研究は、2019年度ー2021年度までの間、コロナによる渡航制限により現地調査が実施できなかったため、これを比較的必要としない「サイバーセキュリティと経済経済グローバライゼーション」に焦点を絞って行なってきたが、この最終成果の一つとして、研究代表者及び海外研究協力者を編者として、2023年9月、ケンブリッジ大学出版会から、編著、Tomoko Ishikawa and Yarik Kryvoi (eds.) Public and Private Governance of Cybersecurity: Challenges and Potentialを刊行する(https://www.cambridge.org/core/books/public-and-private-governance-of-cybersecurity/4749EAE84BBA8967A9CEF319FC699A17)。同書は、本研究の目的であった、国際関係学・国際政治学と国際法学との学際的協働により、国際関係学・政治学分野の3章、国際法学分野の5章を含むものであり、サイバーセキュリティ政策をめぐる地政学的分断、これが阻害する国際協調、国際協調の不在により引き起こされる経済グローバライゼーションに対する影響や国際法上の問題、といったテーマを広く取り扱う。 最終成果の一つとして、同書の出版に先立ち、2023年5月、同書の執筆者に、世界銀行からサイバー分野のキャパシティ・ビルディングの専門家を迎え、100名規模の国際シンポジウムを開催する。 加えて、研究分担者はそれぞれロシア・ウクライナ戦争、ミャンマーにおける人道危機といった、安全保障に関わる最先端の重要な事象につきそれぞれ国際法学・国際関係学の観点から分析を行い、研究業績記載の著書、論文、学会発表等を通じ、研究成果を国際的に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の目的は、「経済グローバライゼーションと安全保障との間の緊張関係に効果的に対処するための国際協力の枠組みの構築」に向けた課題や方策を明らかにすることであった。コロナによる現地調査の制限にも関わらず、対象をサイバーセキュリティに絞ったことで、研究分担者を含めたオンラインによる複数回の会議、文献調査、データ分析等の方法により、研究を進め、成果物の一つとしての編著(Tomoko Ishikawa and Yarik Kryvoi (eds.) Public and Private Governance of Cybersecurity: Challenges and Potentialを刊行する(https://www.cambridge.org/core/books/public-and-private-governance-of-cybersecurity/4749EAE84BBA8967A9CEF319FC699A17))においては、上記問いに対し、一つの回答を示すことができたと考えている。本研究はまた、国際関係論、国際政治学、国際法学の学際的協働を目指していたところ、同書は、日本、欧州、カナダ、米国の、国際関係論、国際政治学、国際法学分野の研究者及び実務家(NGO)が参加し、議論を通じ相互に検討・分析の視点や動機付けを相互に与えて執筆したものであり、上記目的にも沿う研究活動ができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度となる本年度は、研究成果の発表(編著出版、国際シンポジウムの開催)に加え、本研究の次に繋がる研究テーマの発掘を目指す。具体的には、ロシア・ウクライナ戦争を契機とした、エネルギー安全保障に対する懸念の一層の高まり及び、エネルギー・トランスフォーメーションに対するプレッシャーの高まりを背景とし、エネルギーに関する安全保障上の脅威と、経済グローバライゼーションとの間の関係を検討対象とし、この観点から、気候変動ガバナンスにおける国際協調の現状と、国際協調に基づくガバナンスの構築を阻害する要因、これを克服するための課題、課題を乗り越えるための方策、の検討に着手する。コロナによる渡航制限解除を受け、エネルギー安全保障の最前線である欧州における現地調査(エネルギー憲章条約事務局、欧州委員会等)を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染拡大防止のための渡航制限が継続しており、2022年度までに、海外から研究協力者等を招聘して対面の大規模な国際会議を開催することが難しかったこと、また、研究代表者の海外渡航も難しかったため、研究期間を一年延長し、2023年度に国際会議を開催し、海外研究調査を行うこととした。
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