研究課題/領域番号 |
19KK0031
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
武内 進一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (60450459)
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研究分担者 |
千年 篤 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10307233)
桐越 仁美 国士舘大学, 文学部, 講師 (70793157)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | アフリカ / 国家 / 土地 / 伝統的権威 / 土地法 / 所有権 / 地方行政 / ドナー |
研究実績の概要 |
コロナ禍により海外渡航が厳しく制限される状況のなかで、これまでの調査データを用いた成果のとりまとめ、文献研究、そして今後に向けた準備に時間を割いた。成果とりまとめとしては、本国際共同研究の相手先であるガーナ大学と連携して、アフリカの土地制度改革に関する英文研究書(Shinichi Takeuchi ed. African Land Reform Under Economic Liberalisation - States, Chiefs, and Rural Communities. Singapore: Springer.)を刊行した。本書には、ガーナ大学から2名が執筆したほか、海外の3大学(ケープタウン大学、アジスアベバ大学、カブガイ・カトリック大学(ルワンダ))から研究者が参加した。 本書は、1990年代以降アフリカの多くの国で導入された土地制度改革の背景、実態、そして結果について、ガーナ、ザンビア、南アフリカ、ナミビア、ジンバブウェ、モザンビーク、ルワンダ、エチオピア、ケニアを事例として比較研究したもので、政党活動や伝統的権威の影響力が土地制度改革の帰趨に大きく影響していることを明らかにした。ガーナとルワンダを他のアフリカ諸国のなかに位置づけて比較分析することができ、本研究にとって有益な内容となった。出版に当たって、2021年9月にオンラインでブックローンチセミナーを開催した。 研究書出版と並行して、ガーナ、ルワンダの農村資源管理に関する文献調査を続けるとともに、ポスト・コロナに向けて、本研究プロジェクトのカウンターパートであるガーナ大学、プロテスタント人文社会科学大学(PIASS)との関係強化の努力を続けた。上記の書籍刊行やセミナーもその一環だが、PIASSとの間ではオンラインによる共同講義を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度にはPIASSで共同セミナーを開催するなど大きな進展があったが、2020年度はコロナ禍のために共同研究は停滞を余儀なくされた。2021年度も同じくコロナ禍のために現地調査を実施することはできなかったが、一定の進展も見られた。特に、英文書籍を刊行できたことは重要な進展であった。書籍刊行を通じて、研究者間でルワンダとガーナの比較について議論することができた。これは今後のために重要な経験であった。また、この間のやりとりを通じて、ガーナ大学およびPIASSの研究者との間に信頼関係が構築されてきたことは評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は最終年度であり、年度末(2023年3月)にガーナ大学でとりまとめのワークショップを予定している。今年度の研究は、それに向けた準備作業が中心になる。2022年4月から7月まで東京外国語大学に招へいしているコジョ・アイドゥ教授と相談しつつ、入念に準備を進める。ワークショップ前の7月および12月に、オンラインで準備会合を開催する。ワークショップには本共同研究の分担者の他、東京外国語大学のアフリカ関係研究者や、ガーナ大学、PIASSをはじめとするアフリカ研究者にも広く参加を呼びかける。 本研究プロジェクトの比較の軸は農村資源管理だが、このテーマは政治権力構造や地方の社会構造に関わる幅広い内容を持つ。そのため、比較研究に関心を持つ研究者多数に声がけし、複数の比較軸を設定したい。これについては、事前の準備会合でも話し合いを重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度もコロナ禍のため海外渡航ができず、予算の一部を繰り越した。繰越分は今年度配分される経費とあわせ、2022年度に予定しているガーナ大学との共同セミナーの際に、日本、ルワンダ、その他アフリカ諸国からの参加者の旅費、滞在費として使用する予定である。
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