研究課題/領域番号 |
19KK0032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡本 正明 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (90372549)
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研究分担者 |
足立 真理 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 研究員 (10848675)
西島 薫 京都大学, スーパーグローバルコース人文社会科学系ユニット, 特定助教 (30838793)
島上 宗子 愛媛大学, 国際連携推進機構, 准教授 (90447988)
森下 明子 立命館大学, 国際関係学部, 准教授 (40822739)
長谷川 拓也 東洋大学, アジア文化研究所, 客員研究員 (50760534)
林 憲吾 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60548288)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
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キーワード | 地域研究 / インドネシア / グッド・ガバナンス / ビッグ・データ / ツイート / 地方自治 |
研究実績の概要 |
本共同研究では、日本とインドネシアの地域研究者がビッグデータなどを用いながら共同研究を行い、ドナーが途上国に一律に適用しがちなグッド・ガバナンスの概念をインドネシアの自治体の事例から再検討した上で、それぞれの地域社会に依拠・適合した地方ガバナンスのモデル構築を目指している。2019年度から2020年度にかけては、インドネシアのデータ・マイニング会社、Kata Data社にとともに、2013年から2020年にかけて自治体が管轄する7セクター(コロナ感染症、雇用・貧困削減、環境、居住、地方ガバナンス、教育、公衆衛生)のツイート収集・分析を行った。まず、ツイートでの言及が多い自治体、社会的亀裂の深い自治体を35選び、それぞれの自治体について、7セクターに関連するキーワードを含む約150万ツイートを抽出した。そのうえで、6種類のアルゴリズムを使って各ツイートのセンチメント分析も行った。2021年度は、こうしたツイート分析をさらに進めた。まず、それぞれの自治体ごとの重複なしのツイート数をセクター別に分析し、自治体ごとにツイートされるテーマの差異がかなり大きいことがわかった。次に、Nvivoというソフトを使い、各自治体ごとの頻出語を分析してみると、自治体ごとにかなり頻出語が異なることが明らかになり、ツイートを通じて自治体ごとに重要なイシューを明らかにする方法として有効であることが明らかになった。例えば、首都ジャカルタでは洪水(banjir)が最頻出タームであるのに対して、泥炭火災が顕著なペカンバル市では、泥炭火災に伴う煙害に関するタームが最頻出タームであった。3つ目は、ツイートデータのさらなる整理である。オンライン・ニュースやボットによるツイート発信も目立つことから、Kata Data社に対して、そうした一般の人のつぶやきではないものを排除したデータベースの作成を行ってもらった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染症拡大のために、本研究が始まってから代表者、分担者の誰もが現地調査も行えていない。現地の調査会社との意見交換については、ソーシャル・メディアやZoomでのやり取りを行ってきており、その点は比較的順調である。しかし、現地調査が行えていないことから、ツイートで言及されている状況について、現地での確認などを行うことが困難な状況が続いている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度については、整理したデータを元に、代表者、分担者が現地の研究協力者とともに具体的な分析自治体とテーマを設定して、ツイートのコンテンツ分析を更に進めていく。コロナ感染症拡大が沈静化してきたことから、現地の研究協力者を招聘して、論文や発表といった成果発信を積極的に行っていく。また、夏には共同で現地調査を行うことで、ツイートでの語りと現地の実情との異同を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
二年間続けて、コロナ感染症拡大により現地調査ができなかったことに加え、インドネシアから招聘することもできなかった上に、国内出張も行わなかったことから、旅費の支出が発生しなかった。2022年度には、コロナ感染症も沈静化し始めていることから、現地調査と海外からの招聘を行う予定である。
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