研究実績の概要 |
本国際共同研究は,インドを中核拠点に、途上国農村地域の社会経済に関する(i)広域空間(全国・州)レベルの標本調査、センサス、行政記録データの統計品質(クオリティ)を、(ii)小地域空間(村落)内の対応する小地域統計、個票データ、小地域推計の検証を通じて評定し、適切なデータ利用法を研究することを目的とする。インド学術団体「農村研究財団(Foundation of Agrarian Studies:FAS)」との国際共同研究を通じて、そこから利用できるデータベースを検証基準として、農村統計情報の統計・統計制度の品質とその利用方法を検討する。 2020年3月に、インドFASと地籍図の電子化とともに、地理情報システム(GIS)で利用できる空間データを作成する取り組みについて協議した。それに基づいて、2020年度は現地での測量等含め、地籍図に位置情報を組み込んだデジタルデータへと加工しつつ、土地台帳記載の筆ごとの属性情報を空間データに結合するデータベースを新たに構築した。その対象地域として、Tamil Nadu州Palakurichi村を選出した。 その結果、Palakurichi村の①FMB(Field Measurement Boundary)、②地籍図(Cadastral map)、③地籍図を基にしたGISデータ、④土地台帳が取得できた。2021年度は、この地籍図と土地台帳の整合性やその際の正確性について、空間解析の手法や土地台帳記載の所有者情報に基づく家系図作成などを通じて検討を重ねた。その結果、①FMBと②地籍図、さらには、それらを基にした③地GISデータを照合すると、ともに比較的高い精度で作成されていたことが確認されるとともに、GISデータにて図上測定される面積の値は④土地台帳記載の農地面積等とも整合的であることが確認された。しかし、このGISデータを踏まえて、そのデータ・クオリティを検証するための次の作業について、日本側とインド側で協議を準備しはじめた時点で、研究代表者が急逝したため、そこで本研究課題は終了している。
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