研究課題/領域番号 |
19KK0045
|
研究機関 | 東京藝術大学 |
研究代表者 |
毛利 嘉孝 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 教授 (70304821)
|
研究分担者 |
清水 知子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00334847)
近藤 和都 大東文化大学, 社会学部, 講師 (10830359)
大久保 遼 明治学院大学, 社会学部, 准教授 (60713279)
日高 良祐 首都大学東京, システムデザイン研究科, 助教 (60803400)
|
研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2023-03-31
|
キーワード | メディア / 文化 / ライフスタイル / 比較文化研究 / デジタル |
研究実績の概要 |
本研究の大きな目的は、(1)デジタル時代に対応した「メディア研究」、あるいは「メディア文化研究」と呼ばれる新しい研究領域を形成すること(2)その研究の理論的・実践的なハブとして、メディア産業の発展が著しい東アジアと日本を定位することである。そのために、マサチューセッツ工科大学(MIT)と協力しながら、東京とボストンに拠点を置きつつ、デジタルメディアとライフスタイルの関係が実際にどうなりつつあるのか、そしてそれをどう理論化できるのかを2019年度から3年半に渡って調査・研究を行うという計画を立てた。当該年度はその1年目である。2019年11月にプロジェクトが発足し、2019年度は実質的に4カ月の活動だった。 研究プロジェクトが立ち上がったばかりだったこともあり、初年度は基本的には、既存の研究を整理しつつ、アメリカを中心とした研究ネットワークを形成することを成果目標とした。この点については、研究代表者及び研究代表者4人との間で研究会を開催し、これから4年間の方向性を議論した上で、MITの協力研究者である日本研究・メディア研究学科のイアン・コンドリー教授とオンラインのミーティングを重ね、一定の成果を上げていると考えられる その上で、2020年3月にアメリカにおける長期滞在を計画、その際に4年間のプロジェクトの方針を策定し、MITで第1回の研究会を開催し、プロジェクトを始める予定だったが、新型コロナウイルス感染の広がりにより、海外研修中止を余儀なくされた。また国内においても研究会や会議も自粛が要請されたので、その代替事業としてソーシャルメディアを用いたオンライン会議を開催し、その途中報告は2020年度前期に立ち上げるホームページで発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定されていた「国際共同研究の加速」というインフラストラクチャーの整備とそのための基礎的な調査という点では、日本側の研究プロジェクトのメンバーとアメリカ側の研究者との間では定期的にオンラインでの情報交換を行い、一定の成果を収めている。11月に活動が始まった初年度は活動期間が実質的に4カ月なので、成果の多くは来年度以降の発表になるが、十二分な準備が整いつつある。 その一方で、プロジェクトの最大の目的である海外におけるハブの拠点形成、具体的にはマサチューセッツ工科大学(MIT)に一定期間程度滞在して共同研究を行うという計画は、2月末から日米両方で拡大した新型コロナウイルス感染の拡大のために大幅な遅れが見られる。日本の大学では、海外研修はもちろん国内の対面式の研究も調査も難しく、図書館の使用もままならず、すべてをオンラインに頼らざるを得ない。当初計画では、2020年3月に日本側研究者がボストン、MITに長期滞在し、一回目の意見交換と調査研究の設計を行う予定だったが、2020年6月1日現在いまだに予定が立っていない。MITをはじめアメリカの多くの大学では、すでに授業や研究のほとんど全てをオンラインベースに移行しており、日本側もそれに対応した体制を作らざるをえず、その作業に多くの時間を取られている。 新型コロナウイルスのために、デジタルメディア、ソーシャルメディアの重要性は飛躍的に高まっている。技術的変化だけではなく、それを取り巻く社会や政治、経済の変化も早い。日米、あるいは欧米とアジアで異なった変化が起きており、本研究の重要性はますます高まっていると考えられる。新型コロナウイルスの状況を睨みつつ、どのような変化にも対応できるように体制を整え、オンラインの活動を大胆に取り込んだ研究方法の確立が急務である。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの流行によって、ボストンMITを拠点にして研究者が長期滞在するという当初予定していた研究手法が難しくなっている。最短でも2020年度後半まで、場合によると、完全に自由に活動できるようになるのには2、3年かかるかもしれない。その一方で、実際の移動の制限の中で、インターネット、オンライン、ソーシャルメディアのようなデジタルメディアにおける活動は、もはや社会の不可欠な中心的な領域を形成しつつあり、いささか皮肉なことだが、本研究の重要性、必要性はますます高まっていると考えられる。 最大の問題は、日本からアメリカへの移動が、日米の新型コロナウイルスの状況に左右されるので、移動を伴ったプロジェクトを立てることが今の段階で極めてむずかしいということである。日米ともに不要不急の移動の自粛が要請されるだけではなく、入国制限が続いている。多くの飛行機便がキャンセルとなり、仮に再開しても飛行機代の高騰が噂され、予算を作ることも難しくなっている。 2020年度の対応としては、コロナ感染の状況を注意深く見守りながら、オンライン会議システムとインターネットインフラを用いたプロジェクトへとシフトしつつ、「新しい日常」における国際共同研究の在り方を模索する。また併せてコロナ危機が長期化した際の本研究プロジェクトの進め方については抜本的な対応策を2020年度の前半までに立案したい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
3月にアメリカ、ボストンのマサチューセッツ工科大学(MIT)で予定されていた国際ワークショップと研究滞在が新型コロナウイルス拡大のために中止されたため。
|