研究課題/領域番号 |
19KK0046
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
中野 裕二 駒澤大学, 法学部, 教授 (10253387)
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研究分担者 |
浪岡 新太郎 明治学院大学, 国際学部, 教授 (40398912)
大西 楠・テア 専修大学, 法学部, 准教授 (70451763)
大嶋 えり子 金城学院大学, 国際情報学部, 講師 (90756066)
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研究期間 (年度) |
2019-10-07 – 2024-03-31
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キーワード | フランス / ドイツ / 日本 / 移民 / シティズンシップ / 外国人労働者 / ライシテ / ムスリム |
研究実績の概要 |
本研究は、仏独での移民のシティズンシップ変容、成員資格承認基準の移民への影響および受け入れ社会のシティズンシップへの影響の解明と、日本事例の研究成果の追加による移民のシティズンシップ変容の理論枠組みの構築を目的とする。具体的には、1.フランス・ドイツでの移民のシティズンシップ変容の実態解明、2.フランス・ドイツでの成員資格承認基準の移民への影響の実態解明、3.フランス・ドイツでの成員資格承認基準の受け入れ社会のシティズンシップへの影響の実態解明、4.移民のシティズンシップ変容の理論枠組みの構築、という4つの解明課題を設定し、それに制度・紛争・言説・理論の視点から答えることで、シティズンシップ理論の発展に貢献するとともに、日本の政策立案に寄与する知見を提供することを目的とする。 2020年度は、フランスにおけるムスリムの経験する社会的排除に対して、どのような法律・政策・制度が存在し、どのように機能しているのかを検討した。また、「分離主義」や「イスラーム左翼主義」といった語によって、フランスの主要政治家や知識人がどのようにイスラームやムスリムを位置付けているのかを検討してきた。「分離主義」をめぐる議論においては、とりわけライシテをはじめとする「共和国の原則」がいかに参照されているのかに注目してきた。さらに、ドイツの移民法制についての整理・分析を行った。すなわち、少子高齢化による人口動態の変容という観点から進められている「選択的移民政策」を実施するドイツおよびEUの法制度を分析した。また、Brexit後もイギリスに滞在するEU市民の法的地位についての調査、②コロナ危機のもとでドイツが行った移動規制、外国人労働者への支援についての調査も行った。また、比較の観点から、日本の生活困窮者自立支援法の成立過程を検討し、フランスの社会保障制度との違いを比較した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題は海外共同研究者との共同研究を柱とする。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で勤務校の海外出張の禁止もしくは渡航自粛要請によって、現地調査および研究打ち合わせ・研究会開催のための海外出張ができなかった。研究代表者・研究分担者ともに国内にとどまり、2019年度に収集した資料に基づく研究およびオンラインによる研究交流に努めたが、現地調査ができなかったという点で研究計画と比べ研究の進捗状況は遅れていると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査が困難な状況が続くと考えられるが、ワクチン接種や感染状況を見て可能な限り現地調査を実施する。また、引き続きインターネット上で入手可能な資料の検索と入手に努める。さらに、オンラインでの意見交換や移民当事者や支援団体等への聞き取り調査の可能性を探りたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査のための海外出張ができなかったためである。 2021年度は、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、現地調査のための海外出張を行うことで研究費を使用する予定である。また、オンラインによる移民当事者および関連団体への聞き取りには、現地コーディネーターが必要となる。そのため、コーディネーターへの謝金としても研究費を使用する予定である。
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